南相馬の内部被曝検査、関心低下との戦い 混迷する福島・住民健康管理の取り組み
原発事故から2年が過ぎた福島県で、放射線被曝に対する関心の低下が問題になっている。南相馬市は県内で最も早くホールボディカウンター(WBC)による住民への内部被曝検査体制を確立した自治体だが、中心になってかかわった坪倉正治・南相馬市立総合病院医師は今、市民の関心低下に危機感を強めている。
東京大学医科学研究所に在籍する坪倉医師は、東日本大震災発生直後の2011年4月に相馬市に入り、住民への医療支援活動に従事。その後、原発事故で住民の多くが避難を余儀なくされた南相馬市でのWBC導入に奔走した。坪倉医師らの努力により、南相馬市立総合病院では2011年7月からWBCによる内部被曝検査をスタート。約7万人の市民のうち、およそ2万5000人が現在までにWBC検査を受けている。
WBC受診者が3分の1に激減
だが、ここへ来て、検査人数の大幅な減少が大きな問題になっている。
坪倉医師によれば、「最近、WBC検査の受診者は以前の3分の1程度」。住民の関心低下に危機感を抱いた坪倉医師らの尽力によって、小中学生については今年4月から年2回の学校健診時に市立病院に来てWBC検査を受けるシステムがスタートした。
同時に市民全員を対象に、「健診時にWBC検査を受けましょう」という趣旨の文言を盛り込んだダイレクトメールを送る仕組みも導入した。いずれの取り組みも、WBC検査があくまで希望者を対象としたレベルにとどまる福島県内では初めてのものだ。
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