「子ども被災者支援法」が骨抜きの危機 原発事故被災者や自治体が、国に“異議申し立て”
福島第一原発事故で被災した子どもや住民の生活や健康を守るための法律が、政府の手で「骨抜き」にされる危機に直面している。
昨年6月、超党派の議員立法による「原発事故子ども・被災者支援法」(以下、支援法)が衆参両院での全会一致で可決成立。そして1年2カ月以上もかかって復興庁は今年8月30日に具体的な施策を定めた「基本方針案」を発表したものの、その中で「支援対象地域」から外された地域が福島県会津地方や関東、東北の広範囲に及ぶことがわかった。
基本方針案をとりまとめた復興庁は「時期は未定」としているが、支援法制定で中心的役割を果たした川田龍平・参議院議員(子ども・被災者支援議員連盟幹事長)は「10月15日の臨時国会召集までに現在の案とさほど違いがないまま基本方針が閣議決定されてしまう可能性がある」と危惧する。そうなると、多くの被災者はこれまで求めてきた支援施策の対象外に置かれることになりかねない。
多くの自治体が、基本方針案の見直しを要望
危機感を強めているのは国会議員だけではない。「子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク」の調べによれば、10月2日時点で同法に関する意見書を採択した地方自治体が約130にものぼることが判明。その多くが支援対象地域の範囲設定に異議を唱えるなど、政府に対して基本方針案の抜本的な見直しを求めている(次ページ表参照)。
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