震災復興事業が被災者を脅かす 土地区画整理、河川堤防建設で家を追われる人々

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「家を建ててわずか4年3カ月で津波に飲まれたために、住宅ローンもたっぷり残っていた」という金内さんは、震災後、義援金や国からの被災者生活再建支援金もすべて投じて、住宅ローンの返済を続けてきた。そうした努力の結果、半分以上を返し終えたものの、いまだに1500万円以上もの住宅ローンが残っているという。

自宅を修理した直後に立ちのきに直面

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自宅の取り壊しを求められている金内光枝さん

2011年3月11日、金内さんの自宅は2階の床上の50センチまで海水に浸かり、壁や天井は穴だらけになった。それから2カ月後、「リフォームしても問題ない」という話を市役所から聞き、金内さんはいったん出した解体届けを取り下げた。

そして修理が終わり、自宅に戻ってきて間もなく、金内さんは土地区画整理事業の計画を知らされることになる。翌2012年春のことだ。

道路の拡張のために土地を削られるうえ、地盤沈下した土地をかさ上げするために地区全体で盛り土工事をするという中身だった。直したばかりの自宅は、取り壊さなければならないことも知った。

「最初から自宅の修理はダメですと言われていたら、修理せずに取り壊して仮設住宅に入ることもできた」と金内さんは振り返る。「直していいと言ったのだから、市役所にはちゃんと責任を取ってほしい」と金内さんは言葉を続ける。

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