「自分でやりたい中毒」から今度こそ抜ける方法 プレイングマネジャーに必要な「3つの心得」

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1966年に、アメリカのコンサルティング会社、ボストン・コンサルティング・グループのブルース・ヘンダーソン氏が提唱した「経験曲線効果」によると、「ほとんどの業種では、作業経験が2倍になれば、習熟度が増すことによって、製品1つをつくる費用が、10~25%ほど下がる」といわれています。

この平均費用が下がる割合のことを「習熟率」と呼び、習熟率80%の場合(20%減少)で計算すると、経験が5回に達したあたりで、すでに生産性は約2倍。さらに教育投資をすれば、習熟率70%(30%減少)にすることも可能です。

ですから、最初は不安になるでしょうが、無理をしてでも任せてしまったほうが正解、ということなのです。

心得③ 業務量を3割減らす

ここまで読んで、あなたはこう思ったかもしれません。

「仕事を任せるのはいいけど、任せられた部下は忙しくなり、残業が増えるのでは……」と。

そのとおりです。ですから、プレイングマネジャーは自分の仕事を任せるだけではなく、全体の仕事量を見直すこともセットで行います。

目標としては、全体の仕事量を3割ほど削減することを考えてみてください。1~2割では、それほど影響がないからです。

しかし、頭ではわかっていても、いざ実行に移すとなると、何が無駄なのか判断に迷い、結局仕事を減らせないということが少なくありません。

そうなってしまう原因は、過去の延長線上で物事を考えているからです。決めるときは、過去からの流れではなく、「基準で決める」ことが大切です。やめても成果に影響しない仕事なら、長年続いていた慣例であってもバッサリとやめる、それくらい大胆に検討しましょう。

業務改善のレベルではなく、「業務変革」のレベルで考えねばなりません。

ここで、私が企業研修で紹介している、無駄な仕事を見極める際の「判断基準」を紹介しましょう。それは、次の3つです。

その業務をやめたら……

① 顧客満足に悪影響が出る(その結果、売り上げが下がる)
② 従業員満足に悪影響が出る
③ コンプライアンス上の問題が発生する(情報管理・健康被害など)

このうち、1つも当てはまらないものは誰がなんと言おうと無駄、というわけです。

『メンバーが勝手に動く最高のチームをつくる プレイングマネジャーの基本 』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

たとえば、あなたの職場には、廃止しても誰の迷惑にもならないような会議や朝礼などはないでしょうか。

このように、基準を設定して考えると、意外とシンプルに判断できるようになるものです。

無駄をなくす対処法はやめることだけではありません。一石二鳥で効率を図ったり、ときには、仕事の手順をより効果的な順序に組み換えてみたり、さらには作業を簡素化する方法を検討していくことも有効です。

以上の「3つの心得」を念頭に置くことで、「自分がいなくてもメンバーが勝手に動く最高のチーム」の素地が出来上がるはずです。ぜひ、プレイングマネジャーのみなさんは実践されてみてください。

伊庭 正康 らしさラボ代表

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いば まさやす / Masayasu Iba

1991年リクルートグループ入社。営業職としては致命的な人見知りを4万件を超える訪問活動を通して克服。その後はプレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回、累計40回以上の社内表彰を受ける。営業部長、フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。2011年、研修会社らしさラボを設立。リクルートで学んだ「圧倒的な当事者意識」を持つことや「短時間で成果を出す方法」などをメインテーマに、リーディングカンパニーを中心に年間200回を超えるセッション(営業研修、営業リーダー研修、コーチング、講演)を行い、リピート率は9割を超えている。

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