さて、肝心の映画内容だが、元の『ドラゴンクエスト5』は、父親、主人公、そしてその子どもたちという親子3代を通して、光の教団の幹部であるゲマを退治するというストーリーである。細部は違えど、映画版もだいたい同じだ。
最初こそ、いかにも「海外市場を意識しました」というようなCGのバタ臭さが気になる部分はあったが、徐々に絵柄にも慣れていった。唯一残念だったのは、父・パパスが殺されるシーンが「うわぁぁぁぁぁ」みたいな感じだったことくらいだ。もっとハッキリ「ぬわーーっっ!!」と発声してくれれば、一笑い起きたのに。
父の死後、主人公は光の教団の下で奴隷として10年間働かされるが、命からがら脱出。父と過ごした家に戻り、残された手記をきっかけに、主人公は勇者と母親を探す旅に出る。
旅の途中、いわゆる「結婚イベント」をこなした後、主人公の時間はゲマによって奪われてしまい石化してしまう。その間に成長した息子によって助けられ、妻や息子たちと一緒にゲマを倒すことに。
中盤まではまったく退屈しない良作
映画を見ながら正直に思ったことは、少なくともこの時点までは、僕にとってユア・ストーリーは十分に楽しめる娯楽作品だった。
ラインハット城の描写が端折られすぎて門と門番しか描かれず、城感がまったくないなどのツッコミどころはあったが、CGはドラクエ5の世界を十分に表現していたし、バトルシーンはモンスターたちの動きが細かく描写され、戦いには十分緊迫感があった。また、細かく笑わせる小ネタもあり、中だるみもなく、退屈することはなかった。
さらに、幼なじみのビアンカと、大富豪ルドマンの娘・フローラのどちらかを選ぶことに。結婚イベントでは、とてもビアンカがかわいらしく描かれ、ドラクエ5プレー時にはフローラを選んだ自分でも、ついビアンカを選んでみようかなと思ってしまうほどであった。
バトルやギャグを細かく入れながら、結婚イベントなどのストーリーの骨子となる重要なシーンはじっくりと時間を使って描かれ、緩急あるよい映画であった。そう、ゲマを倒すまではそうだったのだ。
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