横浜、IR誘致で露呈した何とも厳しい「懐事情」

大都市ほど財政難に陥りやすい構造

これを非常に簡単に言ってしまうと小規模自治体ではほとんどの場合、自前の税収が少なく(=財政事情がよくない=財政力指数が低い)多くを地方交付税に頼っているため、さらに税収が減ったところで大きな影響はないということになる。

ところが、大規模で自前の税収が大きい、財政事情のいい自治体の場合、自前の財源に頼る割合が大きく、歳入減少は大きなダメージとなる。また若年人口の減少は事業所の減少や地価の低下などにつながり、法人住民税、固定資産税のマイナスにつながるが、地価が高い大都市ほどそれらが下がる影響は大きい。こうしたさまざまな試算を積み上げていくと、実は大都市ほど微妙なバランスで歳入をコントロールしなければ大赤字を出す可能性があるわけだ。

「稼ぐ公共」になる努力が必要に

実際のシミュレーションではすべてが減る局面に移行していないにもかかわらず、横浜市や名古屋市、大阪市で大きな赤字が生じており、福岡市に至ってはすべてが増加しているにもかかわらずマイナスになっている。

これまでは大都市ほどスケールメリットがあり、お得だったはずだが、今後はそれが変化するかもしれない。「今後も大都市に稼ぎ続けてもらうためには、これまでの、大都市が稼いだモノを小規模自治体にという流れを逆転させる必要すらあるかもしれません」と、蜂屋氏は話す。

すでに厳しい状況にあるうえに、今後、人口減少がさらに危機を招く可能性があるのであれば早めに手を打っていく必要があろう。蜂屋氏が挙げるのは地方交付税制度の見直しや、高齢者の就業促進、自治体業務のICTの導入、地域運営組織の活用などだ。ICTの導入では現在自治体ごとにばらばらに行われているものを統一し、日本全体で効率化を図るのが賢明ではないかと指摘する。自治体の独自サービスには独自税で対処すべきという観点もある。

伊藤氏は自治体の生産性向上を挙げる。在任期間後半はパークPFIの提案など市有財産の価値最大化と収益化などに取り組んだ経験から「稼ぐ公共」を他に先駆けてやっていくことが大事だと指摘する。欧米では都市が縮退期に入り始めた1990年代後半から2000年代初頭に仕組みを整えており、最近では稼ぐ公共として日本でも紹介されているアメリカのポートランドやドイツのハンブルグなど事例は多い。こうした例にならい、日本流にカスタマイズしていけば生産性向上の余地はあるはずというのである。

ちなみに海外事例で見るとエネルギー、交通、環境分野での取り組みが多く、いずれも長期的な展望に基づいて行われている。何で稼ごうとするかは自治体によって違うだろうが、長い目で見て市民はもちろん、多くの人がハッピーになれる選択であってほしい。

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