1強スタバが「コーヒー職人育成」を急ぐ理由

自社だけに限らず業界自体の発展も課題だ

「学生時代のバイト仲間とは今でも交流がある」と話すこの広報担当に、「なぜ、いろんな職業経験をしたい年頃の大学生が、4年も同じ店で働いたのか」を聞いてみた。

「今にして考えると、会社が新たなチャレンジを次々に用意してくれるのが面白くて飽きなかったと思います。まずは接客や店の業務を徹底して磨き、その後は後輩を指導するリーダーになり、さらにはSSV(シフトスーパーバイザー=時間帯責任者)に任命されました。

仕事への意識が高まったときに『コーヒーの世界を深めませんか』という話もある。基本的に対人を称賛する企業文化で、社会経験の乏しい学生バイトでも楽しめたのです」

あくまでも1人の事例だが、人材育成の視点では興味深い取り組みだ。同社には「コーヒービジネスではなくピープルビジネス」という言葉も根付き、この「ピープル」には接客だけでなく、人材育成も入っている。

今年から参加した“他流試合”

コーヒー業界には、「スペシャルティコーヒー」(推定で収穫量全体の3%程度)と呼ぶ高品質なコーヒーがある。甘さや酸味、口に含んだときの質感など、コーヒーの味を体系化した指標もできた。国内でも「日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)」が発足し、商品展示会やバリスタ競技会も運営する。昨年10月、スターバックスの日本法人も加入した。

バリスタ競技会に「JBC」(ジャパンバリスタチャンピオンシップ)がある。その年の国内バリスタナンバーワンを競うもので、今年から同社のバリスタも挑戦した。

現在、セミファイナリスト(16人)が残り、9月11日の準決勝、12日の決勝(6人で競う)が実施予定だが、残念ながら同社のバリスタは準決勝進出者に残れなかった。

初参加で社内競技会とは種目が違うので、いきなり結果を出すのは厳しかったかもしれない。「スターバックスが参加してくれたことは喜ばしいことでした。ブランドと会社の規模を考えると、よく決断してくれたと思います」と、昨年まで決勝大会の司会を務めた阪本義治氏(アクトコーヒープランニング代表。バリスタトレーナー)は語る。

「2014年にアメリカ本社がSCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)に加入し、研修など社外の知見も吸収して自社教育に活用してきました。日本も同様で、社内だけでなく、社外の知見を学ぶこと。また、社内外含めたコーヒー業界活性化の一翼を担うことを目指し、昨年にSCAJに加入したのです」(広報担当)

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