1強スタバが「コーヒー職人育成」を急ぐ理由 自社だけに限らず業界自体の発展も課題だ
ブラックエプロンは、年に1度、コーヒーに関する幅広い知識、コーヒー豆の特徴などを問う試験を実施し、合格者だけに与えられるものだ。受験者も合格者も、ほぼ右肩上がりで増えている。役員や本部社員も受験でき、合格すれば保持できる。
「2009年は1万1641人が受験し、合格者は412人(合格率3.5%)でしたが、2019年は1万6786人が受験して1922人が合格(同11%)と、パートナー(従業員)のコーヒーへの関心度は高まっています」(スターバックス コーヒー ジャパンの広報担当)
1回の合格者数は10年で4倍以上になったが、難関の試験だ。現在の女性営業本部長(40代)も入社時はバリスタだったように、努力次第で別の道も開かれる。会社としては、まずはバリスタを育成し、裾野を広げたいのが本音だ。同社の「コーヒーエデュケーションプログラム」ステップの真ん中にも「ブラックエプロンバリスタ」が位置づけられる。
直営店率9割超を「意識の高い」バイトで回す
4大コーヒーチェーンの店舗数のうち、直営店が9割を超えるのはスタバだけだ。コメダは逆に、9割以上がFC(フランチャイズチェーン)店となっている(同社は加盟店と呼ぶ)。
1400店以上の9割超が直営店ゆえ、コーヒーの知識や抽出・提供技術の高い従業員を自社で育成しなければならない。それは社員だろうがアルバイトだろうが、店舗で勤務する以上は同じだ。そもそも利用客にとって、接客相手の立場が社員かバイトかは関係ない。
アルバイトも含む全従業員を「パートナー」と呼び、“イコールパートナーシップ”(対等な関係)で業務にのぞむのも同社の特徴だ。今のところ、総じてうまく作用している。例えば、広報担当の女性(30代)は、大学時代は都内のスタバ店舗で4年アルバイトをした。卒業後は新卒で別の会社に就職したが、転職してスターバックスに入社した。同社には、こうした“出戻り”の例も多いと聞く。
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