1強スタバが「コーヒー職人育成」を急ぐ理由 自社だけに限らず業界自体の発展も課題だ
参加したのは、国内各地区の予選会を勝ち抜いた3人。昨年の同大会も取材したが、決勝進出者は17人おり、今年はファイナリストの人数を絞った。
大会の参加者は、普段は国内各店舗で勤務する。一般に店舗スタッフの多くは「グリーンエプロン」(緑色のエプロン)を着用して接客するが、中には黒い「ブラックエプロン」で接客するスタッフもいる。今回の参加者はブラックエプロン保持者で、ファイナリストはその代表だ。学生アルバイトも参加でき、2017年の大会では男子大学生が優勝した。今年も含めた16人の歴代優勝者のうち、主婦の優勝者が多いのも特徴だ。
今回はプレゼンテーション内容も2つに絞った。1つは実際の接客シーンをイメージして行う「リテイルコミュニケーション」。もう1つはドリンクの完成度を競う「バリスタクオリティ」だ。ハンドドリップ、ラテアート、オリジナルコーヒー創造性の3点から完成度を審査された。
優勝して「コーヒーアンバサダー」となったのは、間惣檀(あいそう まゆみ)さん(東海地区エリア内店舗の店長)。審査員からは、抽出技術などに加えて「自然体の柔らかい雰囲気」が評価された。
優勝賞金はないが、コーヒー染めの茶色の「アンバサダーエプロン」が授与される。間惣さんは今後2年間、社内外でコーヒーの啓発活動を行う。日本代表として「CAPバリスタチャンピオンシップ」(スターバックスにおける、アジア地域のバリスタナンバーワンを決める競技会)へ出場する権利も得た。
「ブラックエプロン」保持者も増加中
競技会を視察して感じたのは、その熱気だ。観戦者の大半が社内関係者だが、応援の熱気や盛り上がり方のテンションが高い。これまで、さまざまな外食産業の社内競技会を取材し、中には「優勝賞金獲得」で盛り上がる例も見てきたが、それ以上のテンションだ。
企業としてのスターバックスの強みは「ブランドが好き」「コーヒーが好き」という従業員が多いこと。グリーンエプロンの店員にとって、ブラックエプロンは憧れの存在である。
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