NHK「契約・集金スタッフ」の圧力強化する狙い 強引な契約から「トラブル増える」可能性も
NHKは10月から、契約・集金を担当する「地域スタッフ」の新規契約数などについて、達成率の管理を厳しくする。地域スタッフからは「強引に契約を迫るなどのトラブルが増える」などの懸念が出ている。
地域スタッフらでつくる労働組合「全受労(全日本放送受信料労働組合)」はこれに反対。不当労働行為に当たるとして8月21日、東京都労働委員会に救済を申し立てた。
実質的な団体交渉が持たれず、NHKが多数派組合との相談だけで決めたとして、組合間差別や不誠実団交などに当たると主張している。
下限を引き上げ
NHKは契約取次(「新規契約」や住所変更による「転入取次」など)を主に「外部法人」か、個人委託の「地域スタッフ」に任せている。
申立書によると、これまで地域スタッフの業績評価はエリアの目標達成率をベースに設定されていたが、10月からはエリア平均と全国平均のうち、数値が高いほうをベースにすると言う。
一定水準をクリアできないと「特別指導」の対象となり、回数が重なると担当エリアの縮小(=報酬減)や委託契約の解除などを受けることになる。事実上の達成率の下限引き上げで、地域スタッフへのプレッシャーが増すということだ。
地域によって契約獲得の難易度が違う
受信契約率は都道府県によって偏りがある。NHKが発表している推計世帯支払率(2018年度)によると全国平均は81.2%。最も高いのは秋田県の98.3%だが、平均を大きく下回る地域もある。
業績評価が全国平均ベースになれば、契約率が高い地域の難易度はそのままでも、東京都(支払い率69.7%)や沖縄県(同51.0%)など、新規の契約獲得が難しい地域では苦境が予想される。