次に、「あり」および「その他」と企業が複数選択可で回答した相談役・顧問制度の導入目的について見ると、「現経営陣へのアドバイス」71.9%(531社)、「対外活動」45.3%(335社)、「その他」12.6%(93社)となっており、初調査結果と同様に「現経営陣へのアドバイス」が導入目的として選択された割合が7割を超えた。
では、相談役と顧問ではどちらが多いのだろうか。相談役または顧問の人数を開示している602社の相談役の合計人数は300人で、同じく顧問は1505人。今回の調査でも、人数では顧問が圧倒的に多かった。
トップ2社の導入目的は「現経営陣へのアドバイス」
ここからは、相談役・顧問の合計数によるランキング結果で各社の状況を見ていくことにする。あくまでも調査票の質問項目へ回答に基づくものであるため、情報開示をしっかり行っている先進企業内での順位であることには注意していただきたい。さらに詳細なランキングは『CSR企業白書』2019年版(上位200位まで掲載)を見ていただきたい。
表には参考情報として、『役員四季報』2019年版より取締役数を掲載しているので、取締役数と比べて相談役・顧問数がどの程度の規模なのかも見ることもできる。
ランキングの1位は30人のパソナグループとIHI。パソナグループの場合、すべて顧問であり、人数は初調査時と同じだが順位は上がった。導入目的は現経営陣へのアドバイスで、導入メリットは、おのおのの知見を生かした助言、指導、人脈紹介等と回答している。
IHIの場合は相談役1人、顧問29人で顧問数が初調査時より2人増えた。導入目的は現経営陣へのアドバイスと対外活動。同社の2019年6月28日付コーポレート・ガバナンス報告書によると、相談役には任期があり、顧問には特別顧問、名誉顧問の役職があり、2人の名誉顧問がいる。相談役・特別顧問・名誉顧問は業務執行・意思決定には一切関与しないが、経営の求めに応じて意見を述べているということだ。
3位は26人の三菱マテリアル。初調査に比べ相談役は0人から1人に、顧問は19人から25人に、というように初調査でも回答があった企業の中で最も相談役・顧問数が増え(7人増)、順位も上がった。導入目的は、現経営陣へのアドバイスと対外活動。導入メリットとして、顧問はその事業における豊富な経験や専門知識に基づいた助言を行っているほか、人脈を活用した社外関係先との関係維持に役立っていることを挙げている。
4位は25人の神戸製鋼所。初調査に比べて相談役が0人となる一方、顧問が3人増え、すべて顧問となった。導入目的は、現経営陣へのアドバイスと対外活動。導入について、事業分野が多岐にわたる同社においては、幅広い分野における専門家や経験者からのアドバイスが必要であり、その点でメリットを享受しているとしている。
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