実録!ホームレス施設からハーバード入学の道 シングルマザーが実践!8つの「子育ての公式」

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(8)進むべき方向を指し示す「GPS」

最後の役割となるGPSは、親が与えるアドバイスや人生の知恵だ。親の言葉は子どもの記憶にとどまり、彼らが進む道を照らす指針になる。スマートフォンや車に搭載されている位置情報サービスのように、子育ての達人は、子どもが独立して家を出たあともずっと、親自身の理念にしたがって進む方向を示し続ける。

エリザベスは息子に何度も、あんたには教育を受ける資格があるんだよ、と言って聞かせた。ジャレルはその言葉を支えに、教会や名門校など気後れする環境でも居場所を見つけることができた。

仲間入りするには、とにかく懸命に頑張ればいいのだ。ハーバード大学に通いながら、トイレ掃除のアルバイトをする羽目になっても、耐え抜くことができた。母の教えに後押しされて、今では彼自身も教室で、「君たちも僕と同じ場に立つ資格があるんだよ」と黒人やラテン系の貧しい子どもを励ましている。

幼少期の親の教えは、大きな影響力となる

8つの役割のうち、1番目が「最初の学びのパートナー」、2番目が「整備士」という順番で果たすことが決まっている。子どもが家庭から外の世界に出ていくにつれて、親の役割も寄り添って教えるもの(最初の学びのパートナー)から距離を置いて見守るもの(整備士)へ変化する。この2つの役割は子どもの人生の土台でもある。親には子どもを外の世界に送り出す責任があり、幼い頃の親の教えは成長後も影響を与え続ける。

それ以外の6つの役割は、最初の2つと同じ時期に並行して果たすことができる。とはいえ、成長するにつれ重要性が増す役割もある。例えば幼児期には紹介役の活躍の場は少なく、毎日の生活のなかで世の中の仕組みを教えればいい。けれど子どもが家の外に出ると紹介役の役割が広がり、新しい場所や人、幅広い興味の対象に触れさせることになる。

この8つの役割を合わせたものが、効果的な子育てに欠かせない原則、すなわち、わが子を信念と自信にあふれた賢い人間に育てるための公式になる。

ロナルド・F・ファーガソン 経済学者、ハーバード大学ケネディ行政大学院教員

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Ronald F. Ferguson

経済学者。マサチューセッツ工科大学で学び、経済・社会・教育問題に取り組む。ブランディス大学、ブラウン大学で教鞭をとったのち、1983年にハーバード大学ケネディ行政大学院の教員に就任。2014年、学校制度にまつわるアンケート実施サービスを提供する企業Tripod Education Partnersを共同で設立。ケネディ行政大学院では非常勤に転換し、同大学院マルコム・ウィナー社会政策センター客員研究員、および子どもの学力格差解消を目指す全学的な取り組みAchievement Gap Initiative(AGI)のディレクターを務める。現在は、AGIから生まれた乳幼児の親のための育児支援プロジェクトBoston Basicsに注力し、同プロジェクトの他都市への拡大に取り組んでいる。

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ターシャ・ロバートソン 元『ボストン・グローブ』ニューヨーク支局長

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Tatsha Robertson

編集者、ライター。20年以上に及び調査記事、特集、ニュース記事などの執筆と編集に携わる。『ボストン・グローブ』紙の女性初のニューヨーク支局長として全米を取材する中で、成功する子どもの育て方に関心を抱き始める。近年は『ピープル』誌のシニアエディターとして、犯罪にまつわる記事を手がけた。2005年以降、ニューヨーク大学でジャーナリズム兼任教授を務める。朝のニュース番組『トゥデイ・ショー』、テレビ局CNN、HLN、FOX、MSNBCの番組など、全国メディアに度々登場している。

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