実録!ホームレス施設からハーバード入学の道 シングルマザーが実践!8つの「子育ての公式」

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(5)人生の意味や目的を伝える「哲学者」

哲学者は、幼い頃だけでなく生涯を通じて、子どもが意味や目的を探す手助けをする。子育ての達人は自分の世界観を伝え、子どもはそれを道しるべとする。

エリザベスが伝えた哲学は、貧しさを受け入れるな、というものだ。彼女は5歳の息子とバスに乗り、街角にたむろする若者を指さして、頑張って勉強すればあんな運命から逃げ出せると教えた。

教育を受ければ成功できるという彼女の信念に促されて、ジャレル自身も、たとえ過去の統計を見る限り難しくても、豊かな家庭の子どもと互角にわたりあえると信じるようになった。

(6)子どもが憧れを抱く「お手本」となる

お手本役は、言葉でなく行動で示す。いつかこうなってほしいという姿を、子どもに見せるのだ。親の生きざまを通じて子どもは、親が自分にどんな人間に育ってほしいと思っているか感じとる。

エリザベスは、息子を育てながら大学に通った。ジャレルは、自分や妹たちの世話をやくかたわら、勉強に励む母の姿を目の当たりにした。

そうすることで母は、決意をもって高い目標を目指し、計画的に粘り強く取り組む見本を見せた。母の生き方を見ていなければ、ジャレルも別の人生の可能性など考えもせず、通りをうろつく「ワルや不良グループ」をまねていたかもしれない。

息子の考えを尊重しても、ダメなことはダメと正す

(7)権力者と渡り合う方法を教える「交渉相手」

交渉相手は、子どもが正しい判断をし、自分の意見を堂々と主張できる自立した人間に育つ下地をつくる。手配役は、子どもが自力で解決できない問題に手を貸すのに対し、交渉相手は独り立ちの準備をする。

といっても、子ども本人が何でも好きに決められるわけではない。交渉相手は自立心を育む一方で、必要があれば介入し、子どもの行動を制限したり罰を与えたり、ダメといったり、約束事を決めたりする。子どもも自分の意見を言えるけれど、親が一貫性のあるルールを決め、一定の範囲を設ける。

エリザベスは息子の考えをいつも尊重し、大人に反論してもよいと教えていた。だから彼は高校時代、小説の解釈をめぐり国語教師に食ってかかった。けれど息子が、いじめられるから部屋にこもって本を読みたいと訴えたとき、エリザベスは頑として認めず、外で友達をつくりなさいと諭した。ジャレルは、自分なりのやり方で母のルールにしたがった。

言われたとおり外に出たけれど、放課後何をするかは(母が認めた選択肢の中から)自分で決めた。

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