「大船渡・佐々木朗希」の終わった夏と194球の謎

今の高校野球の現状は「煮詰まっている」

岩手大会決勝・花巻東-大船渡。花巻東に敗れ、涙をこらえる大船渡の佐々木朗希投手(左から2人目)=25日、岩手県営野球場(写真:時事通信社)

 まだ夏の甲子園が始まる前から、全国の高校野球ファンを大いに沸かせてきた大船渡高、佐々木朗希(ささき・ろうき、3年)の夏が終わった。

7月25日に行われた岩手県大会決勝戦、大船渡対花巻東戦は、12-2で花巻東が大勝し甲子園への切符をつかんだ。エース投手である大船渡・佐々木はマウンドには上がらず、投球練習さえすることはなかった。

全国から大きな注目が集まった投手・佐々木朗希

佐々木は昨年からスカウトや好事家が追いかける好素材だった。4月6日に行われた侍ジャパンU-18代表候補の紅白戦で最速163㎞/hを記録し、一躍全国から注目されるようになった。

その4月、筆者は首都圏の某所で佐々木と國保陽平監督がいる場に偶然居合わせた。佐々木は長身だが、ダルビッシュ有や大谷翔平のように横幅のある投手特有のいかつい体ではなく、スリムな印象だった。のちに國保監督が語ったところでは、「クリニックで骨密度を測定したところ、(160キロ超の)球速に耐えられる骨、筋肉、じん帯、関節でなかった」とわかったという。

佐々木は骨端線が閉じていないのではないかと筆者は推測する。骨端線が閉じるとは、成長が止まって大人の骨になることを意味する。そうなれば、多少の酷使にも耐えることができる。しかし骨端線が閉じていなかったのだとすれば、まだ背は伸びる余地はあるが骨は柔らかく、無理をさせれば深刻な損傷を受ける可能性があるのだ。

それを佐々木本人も理解し、以後は剛速球を封印したうえに、球数も抑えめにした。佐々木は打者としても優秀であったから、それでもチームに貢献することはできた。

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大船渡の國保陽平監督(32歳)は、このコラムで以前に紹介した筑波大学体育専門学群で学び、さらに2010年にはアメリカ独立リーグのティファナ・シマロンズで外野手としてプレーしている。

日本流の根性論や精神論ではなく科学として野球をとらえることができ、視野も広い指導者だ。だからこそ佐々木を高校野球で「燃え尽きさせない」配慮をすることができると期待された。

一方で、佐々木は甲子園が始まる前から今夏高校野球の「最大のスター」になった。練習試合でも、大船渡の試合には朝早くから観客が集まった。そして佐々木が少しでもマウンドに立てば、メディアは大きく報道した。

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