「プラ製ストロー」はなぜやり玉にあがるのか 紙ストローへの代替の動きはまだ限定的

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粗悪な紙製ストローの中には使い始めて十数分でふやけて使えなくなってしまうものもあるが、耐久性や口当たりなど高品質なストローで差別化を図る考えだ。「プラと変わらないくらいの使いやすいものをつくらないといけないと思っていた」(長氏)と意気込む。

海外で紙ストロー市場を開拓しようとしている日本企業も存在する。大手総合商社の丸紅は、国産の高品質な原紙を中国の紙ストロー生産メーカーに供給している。中国は現在、欧米向け紙ストローの製造基地となっており、中国国内で製造される紙ストローの約9割が欧米向けとみられる。

日本は廃プラの2割を海外に輸出

丸紅の原紙輸出数量は年間300トンほど。ストローに換算して2億本に相当する。紙ストロー需要が高まる中で高品質な日本製原紙の需要はますます高まっているという。丸紅紙パルプ販売の山口信一・包装資材営業本部長は「中国製紙メーカーの納入した製品にカビが生えていたり、発がん性物質が大量に見つかったりしたことでより高い安全性が求められるようになった」と指摘する。

ストローの脱プラをどう実現するかに各社はしのぎを削る一方、根本的な問題としてプラスチック使用量を減らすべきだという声も上がる。日本では廃プラ処理が国内だけで完結しないのが現状だ。

日本は年間903万トンの廃プラのうち、1割強、約130万トンを海外へ輸出している。輸出先は世界最大のプラごみ輸入国だった中国が多かったが、その中国は2018年に輸入禁止に踏み切ったため、行き場を失ったプラごみは東南アジアの国々に流れている。

だが、今年5月末にマレーシアが輸入されたプラごみを輸出国に返却する方針を示すなどプラごみは行き先を失いつつある。日本はアメリカ、ドイツに次いで世界第3位の「プラごみ輸出大国」であり、そもそも「使い捨てプラスチックの大幅な削減が重要だ」(グリーンピース・ジャパンの大館弘昌氏)と指摘する声もある。日本社会とプラスチックとの付き合い方が問われているといえそうだ。

大塚 隆史 東洋経済 記者

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おおつか たかふみ / Takafumi Otsuka

広島出身。エネルギー系業界紙で九州の食と酒を堪能後、2018年1月に東洋経済新報社入社。石油企業や商社、外食業界などを担当。現在は会社四季報オンライン編集部に所属。エネルギー、「ビジネスと人権」の取材は継続して行っている。好きなお酒は田中六五、鍋島。

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