「プラ製ストロー」はなぜやり玉にあがるのか 紙ストローへの代替の動きはまだ限定的

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同社は紙ストロー以外にも生分解性プラスチックを使ったストローなど幅広い製品をそろえる。当然、老若男女が使うストローの安全性を高い水準に保つことは絶対の条件だ。例えば子どもがストローの口の部分を噛んで潰してしまっても問題なく使えなければならない。

先に述べた生分解性プラスチックは一定の環境下で分解される特長がある反面、コスト高で成型がしにくい。日本ストローはこれまでも乳業メーカーや飲料メーカーに対し、生分解性ストローを提案してきた。しかし、「お客様の反応は今ひとつ」(稲葉社長)だった。

その理由は日本のプラスチックごみの処理方法に問題があるからだ。

外食やホテル業界で普及する紙ストロー

生分解性ストローを分解するには、生分解性プラだけを分別収集し、専用の処理設備に搬入する必要がある。だが、日本のごみ収集は生分解プラスチックと通常のプラスチックを区別していない。コスト高で成型が難しい素材をせっかく導入しても、普通のプラスチックごみとして燃やされているのが実情で、「顧客も前向きになってくれない」(稲葉社長)のだ。

そういう意味でメーカーにとって生分解性プラスチックよりも紙のほうが取り組みやすい素材と言える。紙ストローの1本当たりのコストはプラ製ストローに比べて約10倍。当面は外食チェーンやホテルなどを中心に普及が進むとみられている。企業イメージに資するだけでなく、1個100円前後の紙パック飲料よりも、ストローのコスト上昇分を賄いやすいからだ。

製紙業界では、大手の日本製紙が今年4月から紙ストローの販売を始めた。日本国内の紙需要が減りつつある中、プラスチックの代替として紙が採用される余地は大きいとみる。「まずはストローという入り口に取り組むことで、(プラスチック製だった)袋や包装材用の紙需要を喚起したい」(長知明・紙化ソリューション推進室長)と強調する。

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