デキる人は一流の思考を本で「追体験」している

「新しい発想」をするための"戦略的読書"

思考力を養うには読書が最適のようですが、なぜ日本の大学生は本を読まないのでしょうか?(写真:Fast&Slow/PIXTA)  
読書はなぜ必要なのか? 『本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法』の著者であり、APU(立命館アジア太平洋大学)学長の出口治明氏は、「読書とは、一流の思考を追体験すること」と説きます。

大学生が本を読まないのは、社会が許してきたから

日本では、「大学合格がゴール」という考え方がいまだに残っていますが、大学に合格したからといって、勉強から解放されるわけではありません。なぜなら、大学は自分のやりたいことを勉強する場所だからです。

それにもかかわらず、大学に入るまでは一所懸命に受験勉強をしてきた学生が、大学に入学してしまえば、勉強をほとんどしなくても卒業できるのが日本の現状です。しかも、社会がそれを許してきました。

戦後の日本社会を引っ張ってきたのは、製造業の工場モデルです。工場モデルの下では、製品をできるだけ多く生産することが求められます。そのためには、工場の機械設備をできるだけ長く稼働させる必要があります。つまり、長時間労働が合理的になるのです。

工場モデルで求められるのは、

・「上司の言うことを聞いて、与えられた仕事を黙々とこなす人材」
・「従順で、素直で、我慢強くて、協調性の高い人材」

です。

製造業の工場モデルでうまくいった時代は、「自分の頭で考える人」はそれほど必要ありませんでした。目の前の作業に何の疑問も抱かず、黙って言われたことだけをやり続ける人のほうが都合がよかった。したがって、これまでの日本の大学は、考える力も、学ぶ意思もそれほど強くはない大学生を量産してきたわけです。

ところが今では、日本のGDPに占める製造業のウエイトは、約5分の1まで低下しました。製造業に代わってウエイトが増しているのは、サービス産業です。

製造業で求められた人材と、新しい産業(サービス産業)を生む人材は根本的に違います。サービス産業モデルで求められるのは、

・「自分の頭で考え、進んで行動し、新しいアイデアを生み出せる人材」

です。

日本企業の中には、「大学院でなまじ勉強した人は使いにくい」と大学院生を敬遠する企業も見受けられます。しかし、世界的に見たら、博士課程修了者の人口に占める比率と労働生産性は、正比例しています。勉強を続けて考える力が身に付けば、アイデアがたくさん出る。アイデアが出るからこそ生産性が上がるのです。

自分の頭で考えず、みんなで決めたこと、あるいは他人が決めたことを守っているだけでは、新しい時代に合ったアイデアは生まれません。

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