デキる人は一流の思考を本で「追体験」している

「新しい発想」をするための"戦略的読書"

ですから大学は、「徹底的に勉強して、自分の頭で考える能力を身に付ける場所」であるべきです。それなのに、就職協定や就活ルールを破って、卒業見込みの学生にいち早く内定を出す企業が続出しています。青田買いが学生の勉強の邪魔をしているのです。

また、日本の企業は、大学時代の成績をそれほど重視していません。欧米企業の採用は、大学の成績を重視し、原則的に卒業後に採用を決めています。だから学生は大学時代に必死になって本を読み、必死になって勉強をします。

一方、日本企業は人物重視に傾いていて、成績よりも学生時代の経験(クラブ活動やアルバイト、ボランティアなど)を重視します。これでは、「勉強をしよう」というインセンティブが働くはずはありません。単位を取得して卒業できても、本当に勉強したかどうかは疑わしいのが実情です。

仮に、「“優”が7割以上なければ採用面接を受けられない」ようにすれば、学生は否応なく勉強する(本を読む)でしょう。また、面談でも、「最近読んだ面白い本についてコメントしてください」などと聞けば、学生は必死に本を読むでしょう。

採用活動は卒業後にして、在学中の学生には一切手を出さない。採用時には、学生に卒業証明書と成績証明書を提出させる。そうしなければ面接はしない。企業が「成績重視」というメッセージを発信し続ければ、学生も必死で勉強して本を読むようになるはずです。

大学側の指導ではどういう工夫や仕組みが必要か

日本の大学の教師は、世界に引けを取らないレベルだと思います。決して低くはない。しかし、学生に勉強させる工夫や仕組みが不十分な印象があります。

本を選び、読み、生かすにはどうすればいいか。還暦ベンチャー(ライフネット生命)、古希学長(立命館アジア太平洋大学)にして、希代の読書家が「本を活かせる人の習慣」を、深く、やさしく解説。
『本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法』(KADOKAWA)
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以前、友人の大学教授が「学生に経済学の本をどう読ませたらいいのか、わからない」と言うので、僕は「そんなの、簡単だよ」と答えました。学生に、こう告げればいいのです。

「次の試験はアダム・スミスの『国富論』から2、3問出すから、読んでくるように。なお、全体の3割は落とします」

「読んでおかないと、落とされる」と思えば、学生は嫌々ながらも読むはずです。

ところが、友人は難色を示しました。

「そんなことをしたら、私も、読み返さなければいけない(笑)」

僕が、「先生には特権があります。先生は全部読まなくてもいい。適当にページを開いて、たまたま開いたページから問題をつくればいいだけでしょう」と言うと、友人は、「あっ、それならやれそう」と(笑)。

アメリカの大学は、読書量が成績に直結しています。先生が指定した本を読んでいかないと、授業についていけず単位が取れない。つまり「本を読まないと卒業できない」仕組みになっているのです。

この教授との話はお酒の席での冗談ですが、アメリカの大学のように、読書と成績を直結させる仕掛けや工夫が必要です。

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