船橋 洋一(以下、船橋):前回、“社会起業家、駒崎さんの誕生”から始まり、社会的企業の実践者として政策の制度設計に関わるようになった経緯について、大変、面白い話を伺いました。そうした活動の中で、駒崎さんは、政府や省庁とのお付き合いの経験も豊富です。
そこで、官僚の機能の変化と、それを補完する民間の役割についてお伺いします。駒崎さんが最初に書かれた『「社会を変える」を仕事にする:社会起業家という生き方』を拝読しましたが、官僚と付き合う以前は「ノーパンしゃぶしゃぶ」が官僚のイメージだったと書かれていますね。
そして、皮肉なことに、ああいうスキャンダルが積み重なったのが原因で、行政官と業界の人々の接触が禁じられることになり、行政が業界の本音というか、本当のニーズをくみ取ることができなくなったという状況があります。その点は、どのようにお考えでしょうか。
官僚の仕事を肩代わりする「政策起業家」
駒崎 弘樹(以下、駒崎):おっしゃるとおり、かつては、官僚機構が業界のニーズをすくい上げて政策を立案し、政治家に売り込むというような機能があったのだと思います。ある種のロビー活動を官僚の方々が担っていた時代です。
けれど、今は接触禁止のさまざまなガイドラインなどがあって、それがなかなかできません。ですから、われわれのような民間が、そこの間をつないで、ある種の接着剤の役割を果たす必要があるのではないかと思っています。
船橋:具体的にどんなことができるとお考えですか。
駒崎:例えば、政治家の方にまず議連を作っていただいて、こちらで会合をリードして、官僚の方にはデータを出していただく、というような方法はあると思います。どんな形であれ、官僚ができなくなったことを肩代わりする民間の役割が重要になってきているということではなかろうかと思います。
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