三浦瑠麗がシンクタンクで得た民意知る可能性 ネットワーク型の調査・研究で明らかになる

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山猫総合研究所代表の三浦瑠麗氏(左)に、ネットワーク型の調査・研究の戦略についてお話を伺った (撮影:梅谷秀司)
シンクタンク・パワーと政策起業力のフロンティアと日本の課題を、シンクタンクや大学、NPOの政策コミュニティーの現場で活躍している第一線の政策起業家たちと議論する本連載。
連載6回目は、山猫総合研究所代表の三浦瑠麗氏との対談前編をお届けする。イラク戦争の主導者は、軍人ではなく、ネオコンと呼ばれる文民だったことを検証した『シビリアンの戦争』で論壇に登場して以来、テレビや活字媒体で精力的に発言を続ける気鋭の論客だ。三浦氏は東京大学、同大学院時代に船橋ゼミで学び、2人は師弟の関係にもある。

船橋 洋一(以下、船橋):今日はお越しいただいてありがとうございます。それにしても、驚きました。初めてお会いしたときと、まったくお変わりありませんね。あれは、いつでしたか。

三浦瑠麗(以下、三浦):2003年です。大学に入って5年目で、留年していました。最初は政治外交問題を扱うゼミでした。先生のゼミを受講したのが、私がこちらの道に進むきっかけになりました。

船橋:そうでしたね。自分の考えをはっきりおっしゃるし、周りの人に合わせるというようなことはまったく考えておらず、群れることがない。「個がキリリと立っている」というのが第一印象でした。そのあと、公共政策大学院でもご一緒しましたね。

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三浦:はい。私の代が1期生でした。

船橋:そして、博士論文が岩波の『シビリアンの戦争』につながっていったわけですね。あれはエポックメイキングな著書だと思います。詳細な検証により、アメリカを戦争に向かっていかせたのは、軍人ではなく、ネオコンと呼ばれる文民だったことを明らかにされました。イラク戦争によってアメリカの帝国は終焉に向かい始めた。その意味で、リーマンショックよりもっと大きな出来事だったと思いますが、今振り返って、どのように考えておられますか。

「いちばん大きな鳩は軍服を着ている」

三浦:イラクとアフガニスタンで、アメリカは長い対テロ戦争を戦いました。結果として、アメリカが疲弊して帝国の座から降り、今のトランプ大統領の出現に道を開いた戦争だったと思います。いま私たちはおそらく戦後秩序の終わりに立ち会っているのではないかと思います。同時に、安全保障に対する考え方が、シビリアンと軍とでは根本的に違うのだということが明確になった戦争だったとも思います。軍の方が文民よりも抑制的であることは明らかでした。しかし民主国家において大衆に選ばれた政治家が軍をシビリアンコントロールする以上、軍は従わざるを得ない。

その後、アメリカでも、徐々に軍の影響力はもっと必要だという考え方が出てきたのではないかと思いまず。トランプさんが暴発する可能性をみんな怖れていますからね。ただ、対テロ戦争の失敗の結果として国民全体が安全保障について深く考えるようになったかというと、そうではなくて、アメリカ全体が、民主党も共和党も、みんな内向きになっています。イラクやアフガンで民主化を進めることに失敗して以後、アメリカは理想の力を失いつつあります。ワシントンDCで顕著な中国バッシングは、人種差別感情が伴っているのではないかと疑ってしまうほどで、これまでアメリカが重視してきた国際的なルールや人権を守ろうという意志とはずれてきている気がします。

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