三浦瑠麗がシンクタンクで得た民意知る可能性 ネットワーク型の調査・研究で明らかになる

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船橋:面白いですね。ネットワーク型の調査・研究で、科学的に民意を明らかにしていこうということですが、アウトプットは誰に向けて、あるいはどのような媒体を使って発信していく戦略なのですか。

三浦:基本はマスです。マスに向けて、テレビやラジオ、新聞、雑誌、ソーシャルメディアなどあらゆる媒体を使って、媒体によって少しずつ情報の精度を変えながら、常に発信していこうと考えています。政策を作る政治家や官僚、ジャーナリストといった方々に、耳を傾けていただくには、まず、マスマーケットに声を聞いていただいているという実績を積み重ねていくことが重要だからです。

シンクタンクをビジネスとして成立させるには、将来的には、調査実費程度は政治やメディアに負担していただくような形になればよいのですが、日本で選挙分析ビジネスの市場ができるのにはかなり時間がかかるので、あと数年は持ち出しです。

船橋:では、今も持ち出しですか。

三浦:はい。プロダクトは講演の素材に使えるので、講演料や出版で稼いで、調査に使うという感じです。

船橋:究極の目標は、政策を変えていくとか、公共政策の立案者にインパクトを与えるということになるわけですか。

世論や社会の雰囲気を変える

三浦:そうですね。世論や社会の雰囲気を変えることで、公共政策にインパクトを与えることができればと思っています。いま、フォーカスしているのは女性問題と子どもの虐待問題です。それに加えて、安全保障。とりわけ日米同盟を堅持しながら、日本の自立を高めることです。今後、左派ポピュリズムが台頭するようなことがあれば、資本主義の防護というのが加わってくるので、そのくらいが限界で、それでよいと思っています。

船橋:それだけでも大変なことですね。安全保障政策では、より自立した安全保障の体制の確立という考え方が旗印ですか。

三浦:そうです。安全保障に関しては、グランドデザインできる政治家を育てることが大切だと考えています。

一方、仮にアウトサイダーの方がトップに踊り出てくるような状況となったとき、外交や安保の専門家が政策に影響力を持つのは難しいだろうと思います。トランプ大統領がその事例だったわけです。ですから、安全保障政策で間違わないために、マスマーケットを意識して、将来、リーダーとなり得るポテンシャルのある方々を、議論に巻き込んで置くことも非常に大切だと思っています。

(後編に続く)

船橋 洋一 アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長

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ふなばし よういち / Yoichi Funabashi

1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒業。1968年朝日新聞社入社。北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、コラムニストを経て、2007年~2010年12月朝日新聞社主筆。現在は、現代日本が抱えるさまざまな問題をグローバルな文脈の中で分析し提言を続けるシンクタンクである財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブの理事長。現代史の現場を鳥瞰する視点で描く数々のノンフィクションをものしているジャーナリストでもある。主な作品に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した『カウントダウン・メルトダウン』(2013年 文藝春秋)『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン』(2006年 朝日新聞社) など。

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