三浦瑠麗がシンクタンクで得た民意知る可能性

ネットワーク型の調査・研究で明らかになる

船橋:私のシンクタンクは、福島の原発事故のあと、民間の事故調査委員会を立ち上げて、原因や背景を構造的に分析しました。 結論は、備えが十分ではなかった、ということです。

三浦瑠麗(みうら るり)/1980年、神奈川県生まれ。国際政治学者。幼少期を茅ヶ崎、平塚で過ごし、県立湘南高校に進学。東京大学農学部を卒業後、同公共政策大学院及び同大学院法学政治学研究科を修了。博士(法学)。東京大学政策ビジョン研究センター講師を経て、山猫総合研究所代表取締役。博士論文を元にした『シビリアンの戦争――デモクラシーが攻撃的になるとき』(岩波書店)でデビュー。近著に『21世紀の戦争と平和――徴兵制はなぜ再び必要とされているのか』(新潮社)。「朝まで生テレビ!」、「ワイドナショー」などテレビでも活躍する一方、旺盛な執筆、言論活動を続ける。第18回正論新風賞受賞。『孤独の意味も、女であることの味わいも』は初の自伝的著作である(撮影:梅谷秀司)

「備え」には、事故の防止のほかに、事故が起こった際の備えや対応が含まれますが、日本の場合は、防止には心血を注ぎますが、事故が起こった際の備えや対応は非常に弱かった。原発事故は絶対に起こってはいけないことなのだから、起こったときのことは考えるのははばかられるといった感じで忌避されてきました。そんなことを口にすること自体が「住民に不必要な誤解と懸念を抱かせる」という理由です。だから、重大事故を想定した対策は無に等しく、まったく無防備でした。「小さな安心を優先させて、大きな安全を犠牲にした」のです。

お話を伺って、安全保障の議論も非常に似通っていると感じました。平時のところ、つまり、戦争にならないための対策は一生懸命考えるけれど、有事の対策は政治リスクがあるので、やらないし、考えることさえしない。

三浦:その通りだと思います。3.11の事故後のレポートを読みながら、安全保障の分野と、原発事故の分野につながりを感じました。同じような人達が政府や官僚として対処するから、同じようになるのは当然かもしれません。

今知りたいことを知るために

船橋:安全保障については、伺いたいことが山ほどありますが、次の話題に移ります。三浦さんは山猫総合研究所を主宰しておられます。シンクタンク経営のご苦労や今後の展開などについて、教えてください。

三浦:2015年にいったん独立しましたが、その頃から、まず、ブログで情報発信することを始めました。当時は、「個人商店」として、言論活動の基礎と考えていました。まずは稼ぎ手たる自分が活動を定着させなければいけませんから。

その頃から始めた大型の日中韓対外意識調査は3回目になります。他にも、現実政治に即した選挙分析や世論調査で、今知りたいことを知るために、調査することがあります。ただ最新の調査分析手法を理解し駆使できるようなピカピカの常勤スタッフを雇うことは至難の業です。むしろ、調査ごとに友人のネットワークでチームを作って行う方がたやすい。

まだ、研究所のHPには掲載していませんが、先日、試験的に、統一地方選公示直前に大阪で意識調査を実施しました。約1200サンプルでの調査です。分析結果は、「論座」や「ジャパンタイムズ」に少し書きましたが、選挙前の意識調査を実施して、「選挙分析」にシンクタンクビジネスの可能性を感じました。

船橋:どんなことでしょう?

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