見えない中での攻防戦「ゴールボール」の醍醐味 女子日本代表は、パラ4大会連続出場している

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続いて、コートの確認をする。ゴール前には、ゴールラインから1.5メートル、3メートル、6メートルのところにテープでラインが引いてある。これが自分の位置を知る「手がかり」になる。テープの下にはタコ糸のようなひもが通っている。コートを手で探るとほんの少し出っ張っている。そのひもを見つけて、自分がゴールからどのぐらい離れているかを知ることができる。

まずは、その距離感を体感する。アイシェードをつけると、当然真っ暗で何も見えない。ゴールバーをつたってゴール前に立ち、ゴールバーのもたれたところから歩いていき、しゃがんで手で探ったり、靴底の感触でひもを見つける。1.5メートルから始めて、そこから3メートル、6メートルと進んでいく体験をした。何も見えないのはやはり不安だ。

見えない状態での恐怖

ゴルフの経験があるので、前に進むときはゴルフで歩測するのと同じように考えればいいと思った。ゴルフで歩測するときはだいたい1ヤード(約90センチ)と思っているので、少し狭めて2歩歩いてしゃがんで思惑どおり1.5メートルはすぐに見つけた。3メートルはそこからまた2歩歩いて、少し足りなかった。6メートルは4歩歩いたが、だいぶ足りなかった。見えないと、思ったより歩幅が小さくなってしまうようだ。

問題は帰り。ゴールボールの試合を見たことがある人もいるだろうが、選手は素早く後ろ歩きでゴールまで戻る。ゴールバーに背中で激突する選手もいる。

初心者はそうはいかない。まっすぐ下がっているかどうかさえわからない。後ろ歩きはけっこう恐怖を感じる。

ゴールは金属製。ぶつかったら痛いだろう。自然と歩幅は警戒して小さくなり、何歩歩いたかわからなくなって、最後は手を後ろでバタバタさせながらゴールバーを探り当てた。何度か行ったり来たりしたが、後ろの距離感は難しい。

次ページ晴眼者にすれば数歩歩くだけでも不安になる
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