変形型「パラ卓球台」がもたらした新しい発見 私達の視界の違いを実際に可視化してみると

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会場に用意された3種類のパラ卓球台(写真:一般社団法人 日本肢体不自由者卓球協会提供)

人によって、モノの見え方は違うといわれる。専門的なことは別として、身長180センチの筆者と、子どもでは視界は違うのは当たり前のことだろう。

パラスポーツアスリートにはさまざまな障がいがあるが、そうした人たちと健常者とでも、見え方に当然違いがあるだろう。健常者には想像ができない部分でもある。それが「目に見える」ようになったらどうだろうか。

11月下旬、東京・調布市で「ParaFes 2018~UNLOCK YOURSELF~」が開催された。日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)のスペシャルサポーター「新しい地図」の稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾がナビゲーターを務め、オリンピアンとパラリンピアンの対戦や、障がい者のアーティストらによるUNLOCK LIVEなどが行われた。

ナビゲーターとして「新しい地図」の3人も参加し、開催されたイベントでの様子(写真:日本財団パラリンピックサポートセンター提供)

見え方の違いを表したパラ卓球台

その中で「PARA PINGPONG TABLE」(通称:パラ卓球台)というのが初めて披露された。

2016年リオデジャネイロ五輪卓球男子団体で銀メダルを獲得した吉村真晴選手と、リオデジャネイロパラリンピック代表で数々の国際大会で優勝している岩渕幸洋選手がステージで対戦した際の卓球台が、そのパラ卓球台だった。

卓球台の左サイドが、とがって出っ張っている。これは左足に障害がある岩渕選手にとって「左側に動かされたときに卓球台の左側が広く見える」という見え方を実際に卓球台に表したものだ。

岩渕選手の見え方を再現した卓球台(写真:一般社団法人 日本肢体不自由者卓球協会提供)

そのとがったほうに吉村選手が立ち、見え方としてはより「同じ条件」に近づけるように工夫して対戦した。吉村選手は「こちらが広いので、打たれたら難しいと思った」と感想をもらしていた。

会場の隣のアリーナではパラスポーツ体験イベント「i enjoy!パラスポーツパーク」も開催された。

さまざまなパラスポーツを経験できるブースが設けられ、一般の人でにぎわった。パラ卓球のブースには「岩渕バージョン」とは違う2台のパラ卓球台が置かれ、一般の人たちが長い列を作っていた。

そこにあったのは、車いすの茶田ゆきみ選手と、上肢障がいで両手を伸ばせない八木克勝選手が見える風景を形にした卓球台だった。

次ページ茶田選手と八木選手にはどう見えているのか
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