変形型「パラ卓球台」がもたらした新しい発見 私達の視界の違いを実際に可視化してみると

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茶田選手は車いすを使っているので、ネットに近いボールの処理が難しく「ネットが非常に遠く見え、自分のコートが長く感じる」という見え方を再現し、通常の長さ(1.37メートル)より長い1.8メートルの奥行きがある。

茶田選手の見え方を再現した卓球台(写真:一般社団法人 日本肢体不自由者卓球協会提供)

八木選手は両手が伸びないのですべての方向が遠く感じ、全体に大きな円のように卓球台が見えるという。

なので、パラすると自分の側のコートが半径1メートル強の円形になる。古墳でいうと前方後円墳のような形だ。

会場には八木選手が実際に一般の人たちと、この卓球台で打ち合った。円形のコートの側で打った人たちは一様に「コートが広くてたくさん動かないといけないので疲れました」という感想。温泉卓球の経験しかない筆者も立ってみたが、広くてとても拾えそうにないと思った。

八木選手に話を聞いた。「皆さん、僕が思っている卓球に近い動きをされておられましたね。思ったより動かないといけないことがわかっていただけたと思います」と話した。

八木選手の見え方を再現した卓球台で打ち合う様子。奥の通常サイズで打っているのが八木選手(筆者撮影)

説明をしなくても台の前に立てばわかる

中学1年の時から「接触プレーがないので」と卓球を始めた。先のインドネシアでのアジアパラ競技大会卓球で個人、団体の銅メダルを獲得している。戦い方は、両手が伸びないのでボールが来るあらゆる方向に足を使ってとにかく動くことなのだという。そのためコートが広く感じる。

「健常者の方には、僕が結構つらいということがわかっていただけたかな」と笑った。

パラ卓球台を披露した「一般社団法人 日本肢体不自由者卓球協会(パラ卓球協会)」の渉外担当を務める立石イオタ良二氏は「選手のヒアリングとスケッチを重ねて、デザインを作りました。説明しなくても台の前に立てばわかる、障がいをわかりやすく理解できるというのが目的です。選手たちの工夫、想像力、努力を可視化しました」という。

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