大混雑の成田空港、「顔パス搭乗」は救世主か

世界の空港で採用、NEC「顔認証」技術の実力

空港到着後のチェックイン時に登録した顔写真を基に、手荷物預けや搭乗ゲートで「顔パス」が可能になる。NECが開発したシステムが来春、成田空港で導入される(撮影:今井康一)

空港で1度チェックインを済ませれば、後はパスポートや搭乗券をかばんにしまったまま「顔パス」で飛行機に搭乗ができる――。来春、成田空港がそんな場所に変わりそうだ。

電機大手のNECは2020年春、成田空港に顔認証システムを導入する。チェックイン時に登録された顔写真とパスポート情報、搭乗情報を基に、その後の手荷物預けや保安検査、搭乗ゲートはすべて顔認証だけで通れるようになるという仕組みだ。

旅行客であふれる成田空港の悩み

成田空港の旅客数は2018年度に4317万人となり、4年連続で過去最高を記録。特にLCC(格安航空会社)の就航が急増している。2020年に4000万人、2030年に6000万人という訪日観光客数の政府目標に沿えば、旅客数はまだまだ増える見込みだ。だが喜んでばかりはいられない。空港側を悩ますのが、混雑の問題だ。

NECが開発中のチェックイン機。ディスプレイの上にあるカメラで顔写真を撮り、パスポートと照合し、1度限りの「ID」が作られる(撮影:今井康一)

現在の成田空港の離発着ピークは15時~19時。空港のあちらこちらに長い行列が散見される。今回の顔認証システムや新たな保安検査機器の導入などにより、セルフチェックインの所要時間を7分以内、保安検査を10分以内にする目標を掲げている。

運営会社・成田国際空港の濱田達也常務は、「旅客数が増える一方で既存施設の拡張は簡単ではない。今の施設でいかに処理能力を拡大するかが重要。今後収容力は1.5倍くらいまで上げられる」と説明する。

一方のNECは現在、顔や指紋などの生体認証技術を生かした事業を最重要分野として位置づける。特に顔認証はアメリカの国立標準技術研究所(NIST)のベンチマークテストで、照合精度でトップになったことをうたい文句に、世界各国で攻勢をかけている。

今回NECが受注できたのは、「保安検査や搭乗ゲートにおいてウォークスルーを実現できる、動画による顔認証の精度が評価されたことが大きい」と、クロスインダストリーユニット担当の受川裕執行役員は話す。同社の技術では、カメラの前を通った人に関して、160万人のデータベースから0.3秒で照合できるのだという。

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