幸雄さんが大学に進学した1990年代、世に携帯電話やPHSが普及し始めた。そして、巷では小室ファミリーが大流行。この頃はまだCDが売れる時代で、幸雄さんの中で音楽への期待値も高かったが、だんだんとCDが売れない時代に突入していく。
また、当時は自分が就職氷河期の渦中にいるという意識はなかったが、先輩が就職活動で100社落ちたと聞き、ようやく自分も不況のあおりを受けている一員なのだと実感した。
「僕自身は就活はしませんでした。音楽を続けたかったのも理由の1つですが、コネクションによってすごくお給料のいいバイトを経験していたり、条件のいい作曲などのお仕事もちょこちょこ学生時代からやっていたりしたので、卒業後もその延長線上にいたんです」
バブル世代の「あっけらかんとした感じ」に引く
自分がロスジェネ当事者だという意識があまりなかった幸雄さんだが、唯一ロスジェネを感じる瞬間は、自分よりも上の世代の「あっけらかんとした感じ」を見ているときだという。「あっけらかんとした感じ」とはどのようなものなのだろうか。
「例えば、知人でバブル世代の人がいて、家庭がある身でこれからお金がかかるというときに上司と喧嘩して会社を辞めてしまったんです。彼は『何とかなるだろう』という精神で、それが何とかならず、フリーター生活が続いて生活が困窮し、祖父母から扶養される形で乗り切った人がいました。そんな人を見ると、『これはないわー』と引いちゃいます」
また、先日政府が打ち出した氷河期世代へ向けた集中的就職支援については「何とかしてきた世代」と「何とかなるだろう世代」が今の世の中のことをやっていると幸雄さんは考えている。
「今、高齢社会になってきて健康寿命を延ばす政策も取られていますよね。健康寿命が延びればそれだけ労働力になる年齢も上がるので、そう考えると我々40代もそれなりに使い物になるだろうし、少子化が進んで20~30代の働き手に注力とか言っても数が足りない。だったら40代も対象に入れて20~40代で幅を利かせて重点的にやればいいのになとは思います」
さて、メインテーマである結婚について話を切り込みたい。幸雄さん自身、結婚願望が強く、今まで3回ほど結婚したくなったことがあったという。
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