「人脈を大事にしろ」が口癖の父親の下で育つ
第1回は、数年前から保育関係で管理職として勤務するようになった幸雄さん(仮名・42歳)。ようやく、毎月固定の安定した収入を得られるようになったという。清潔感のある風貌の、すらっとした体型の男性で、実年齢よりも若く見える。
「今もなんですが、僕は音楽をやっていて定期的にライブを行っています。それで、今の職場に勤める以前は音楽業界のツテで、ちょっとした音楽をミックス(編集)する仕事や子どもにギターを教える仕事、テレビの編集会社の受付の夜勤など、言ってみればフラフラしたフリーター生活を送っていました。それでも1人で食べていく分には事足りていたんです」
幸雄さんの父親は団塊の世代。「人脈を大事にしろ」が口癖だった。幸雄さんは父親の助言どおり、人脈を頼って大きなくくりで音楽の仕事をしており、人に職業を聞かれた際は「音楽家です」と答えていたという。
また、「この企画の趣旨とはそぐわないのかもしれませんが」と前置きしたうえで、幸雄さんの家庭は地方でかなりの富裕層だったと語った。
「中学の頃から音楽に興味があってギターを始め、高校を卒業したら音楽の専門学校に進学したかったのですが、親から『せめて大学を出てくれ』と言われてしまって。1年間予備校の寮に入って浪人してから、東京の私立大学へ進学しました。親世代からすると、大学さえ出ておけば将来大丈夫、という価値観を持っての大学進学の勧めだったのだと思います」
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