自分が氷河期世代という意識がない
今回取材に協力してくれたのは、正社員を2年しか経験しておらず、その後はずっとフリーターか非正規社員の村田良一さん(仮名・37歳)。パーカーにキャップ、チノパンというラフな格好で現れた。
「僕、ちょっと特殊かもしれないけどいいんですかね」
取材の最初に彼はそう言った。村田さん自身、自分が氷河期世代であるという意識がなかったのだ。というのも、村田さんは高校の頃に格闘技を始め、一時はプロを目指していたという。しかも、学校や格闘技の練習以外の時間は飲食店と日雇い現場のアルバイトを掛け持ちし、寝る暇もなく学校や練習、バイトに行く日々を続けていたという。飄々(ひょうひょう)と語っていたが、体力的にも精神的にもタフな人物だ。
そして、高校卒業後は「若いときにしかできないことをやろう」と、さらに短期間でハードなバイトをしてお金を貯めて南米へ渡り、1年間暮らしたというのだ。だから、多くの氷河期世代が就活をしていた時期に就活を経験していない。
よく、留学や海外旅行により価値観が変わったという人がいるが、村田さんは「話している言葉が違うな」と思う程度で何も変わらなかったという。
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