村田さんはたびたび「やりたいことを終えてから」や「落ち着いてから」という言葉を使っていた。いったいいつ、やりたいことを終えるのだろうか。例えば40歳までとか、年齢に区切りをつけておかないといつまでも今の状態のままのような気がして、具体的にいつなのか聞いてみた。
「いつなんでしょう……。でも、僕はイベントだけど役者志望の人とかバンドマンとか、表現の仕方は違っても同じような人はいるんじゃないかと思っています」
先のことはあまり考えていない
村田さんは長男だ。そうすると今後、親の介護なども検討しないといけない時期がやってくる可能性がある。
「親の介護問題は時間が経てば現実化するなとは思いますが、先のことはあまり考えていないです。それに、高校を卒業してすぐに海外に行ってしまったので親も諦めているのだと思います」
村田さんを一言で表すなら自由人だ。しかし、アルバイトを掛け持ちして海外へ行くお金を短期間で貯めたり、すぐに人が辞める厳しい職種のアルバイトを長く続けられたり、大学生活と格闘技を両立したりと、非常に我慢強い面がある。しかもそれを表に出していない。話を聞くまで彼がこんなにタフな面を持ち合わせていることを知らなかった。
氷河期世代の人は苦労している分、強い面を持っている。村田さんは苦労を表に出さず、周りにとらわれずに生きているように思えた。ただ、老後2000万の貯金が必要と言われている現代、彼の今後の行く末はどうなるのか少し心配になった。
今までいろんなタイプの氷河期世代の未婚男性を取材してきた。全員価値観が違い、個性もそれぞれで大変興味深い取材だったと実感している。どの世代も生きやすくなるにはどうすればいいのか。連載は終わってしまうが、今後も取材や考察を続けていきたい。
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