「帰国後は、格闘技と両立できると感じたので22歳で大学に進学しました。学歴が欲しいというより、大学に行ってやれることをやってみたいなと。
そして就職したのが26歳のときです。氷河期の就活は経験していませんが、リーマンショックでの就活難は経験しています。昔からパソコンをいじるのが好きだったので、IT系の会社に正社員として内定をもらい、遅めの就職をしました。SEとして就職したのですが、出向しての作業が主でした。出向先によって仕事の多忙さは違いましたが、それまでのキツいアルバイト経験と比べると耐えられました。
月給は新卒で手取り18万円だったので、そんなにいいほうじゃなかったと思います。でも、実家暮らしなのでそんなに困りませんでした」
しかし、そんな安定した会社員生活を2年で辞めてしまう。理由を尋ねると「2年間会社員を体験したからもういいかなって」と、これまた飄々とした答えが返ってきた。彼はなんでもとりあえず体験してみたいという好奇心があるのかもしれない。
そして数年間コールセンターでのアルバイトを経て、現在はIT系の会社で非正規雇用者として働いている。
「時給制で働いているので、今もフリーターって感覚ですね。仕事内容も、コールセンターと同じように電話営業なので。この仕事って精神的にしんどく感じる人が多くてすぐ辞めていく人が多いのですが、僕は今までのバイトで慣れちゃったので。手取りは月に17万〜18万円で年収にすると200万円ちょっとですね」
仕事よりも趣味を優先したい
200万円という年収に思わず驚きの声を上げてしまった。なぜ精神的にも肉体的にもタフで、有名大学を卒業している彼が正社員として働かないのか不思議だったのだが、仕事よりも趣味を優先したいからとのことだった。
「僕、イベンターみたいなこともやっていて、クラブイベントとか主催するんです。僕自身DJをやったり、ゲストにそのかいわいで有名なDJを招いたりしています。赤字になってしまうイベントもありますが、できるだけ良心的な値段の会場を借りて開催しています。今はこの趣味が楽しいので、正社員も結婚も、やりたいこと、例えば最高のイベントを開催するとか、落ち着いてからでいいのかなぁと思っています。正社員になりたくないとか、結婚したくないとか、そういうのはないんですけど……」
村田さんは少し歯切れが悪くなった。今まで恋愛もそこそこ経験してきたが、「いろいろ落ち着いて、機会があれば結婚したい」という程度らしい。また、この収入では欲しいモノも買えないのではなかろうか。
「確かにモノは買えてないです。でも、僕は飲食、とくにお酒にお金をいちばんかけています。しかも、少しいいお店なんかに行っちゃうんですよね」
お酒が好きなようで、村田さんは一気に笑顔になった。
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