「30代までフリーター」42歳の彼が抱く結婚願望 就職氷河期の未婚男はいま何を思っているか

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日々、仕事で子どもと接している幸雄さん。彼自身も自分の子どもが欲しいため、いまだに結婚願望は強いままだが、現在パートナーはいない。しかし、同年代の女性となると妊娠が厳しい年齢になってしまうため年下の結婚相手を希望している。それを聞いたとき、タレントの磯野貴理子さんが妊娠・出産が厳しい年齢であることから、24歳年下の夫に離婚を切り出されたニュースを思い出して胸が痛んだと、筆者は彼に正直に述べた。

「でも男は自分で子どもを産めないオスである分、そういう気持ちは仕方ないのかなと。女性にとっては残酷だと思うんですけど……。あと、42年間も生きてきていると自分の人生が楽しくなってきているので、その楽しさをひっくり返すというか、ある程度キープできる価値観の相手でないと一緒にいる意味を見いだせないなと思っています。20代の頃同棲して結婚を考えた元彼女からは、結婚するなら月々これだけ貯金して、音楽もやめて、ここに家を買って……というシミュレーションをされたんです。

ことごとく、自分の『こうしたい』というプランと合わなくて別れちゃいました。年を重ねるごとに、人間関係を構築することとそれを壊すことが億劫になっていきますね……」

ロスジェネ世代はボランティア精神が強めで一生懸命

幸雄さんは世間から「ロスジェネ」というレッテル貼りのようなものを強く感じるという。

「ロスジェネ世代というと悲観的なニュースや記事が多い印象を受けますが、全然そんなことないです。むしろ、僕たちがいちばん冷静な世代だと思うんだけどなぁ。自分のことはいったん置いておいて、この世代の人たち、僕はすごく好きです。今の世の中に絶望もしていなければ楽観もしていなくて、いちばんちょうどいい。もちろん、就活で100社受けて落ちちゃったり、うつになってしまったりした人もいるけど、みんな仕事に対してスキルアップ思考が強い。一生懸命なんです」

一生懸命なのに非正規が多く、悪い意味でちょうどよく扱われているとは思わないのだろうか。

「そういった印象がないわけではありません。例えば、自分が携わっている福祉の業界はとても賃金が低い。少し前に『保育園落ちた 日本死ね』騒動がありましたよね。あれで少し保育士の賃金のベースアップが行われたのですが、雀の涙程度です。その場のパフォーマンスだけなんです。消費税を上げるので、その何%を社会保障に充てますと言われても『嘘つけ!』という話です。だから、一生懸命やっている人たちも、ある程度ボランティア精神が強めなんです」

幸雄さん自身は、あまり世代というものを意識して生きていないことがうかがえた。また、どうしても親と自分を比べて結婚の基準を作ってしまっていることが気になった。仕事もプライベートでの音楽活動も順調そうな幸雄さん。彼に価値観の合う年下女性が現れることを願うばかりだ。

本連載では、取材をさせていただける方を募集しています。就職氷河期世代の未婚男性のご応募をお待ちしております。ご応募はこちらのフォームより。
姫野 桂 フリーライター

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ひめの けい / Kei Himeno

1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをしつつヴィジュアル系バンドの追っかけに明け暮れる。現在は週刊誌やWebなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好きすぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。趣味はサウナ。

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