プラスチック汚染が人類の未来に影落とす根拠

代替品使用で始める「脱プラ生活」のすすめ

もう1つは、プラスチックが有害化学物質の運び屋になる問題です。フィールドで調査を重ねたり、実験を行うたびに、プラスチックから生物への有害化学物質の移行・蓄積を示す事例が増えていきます。

この分野の研究者の中には、彼らのこれまでの考え方では、プラスチックの運び屋としての役割は説明できないとする人もいますが、大事な点はフィールドで、プラスチックが有害化学物質の運び屋となっているという事例が出てきていることです。事実を説明できるように考え方や見方を変える必要があります。

プラスチック問題について、私たち人間に与える影響についても無視することはできません。最近ヨーロッパでの大規模な疫学調査の結果が報告されました。ヨーロッパの成人男子の精子数が40年で半減しているという深刻な報告です。原因は特定されていませんが、プラスチックに含まれる化学物質も1つの要因として考えられます。

プラスチック添加剤は生殖に影響を与える

プラスチック汚染のことを医学関係者に講演すると、最近子宮内膜症や乳がんの方の割合が増えているが、それとプラスチックの添加剤の問題が関係しているのではと懸念される方もおります。

プラスチックに生殖に影響を与える添加剤が含まれているのは確かです。100歩譲って、それらが飲み物には溶け出してこないとしても、ごみとして捨てられ、微細化して、魚介類の体内に入ると、それらの添加剤は溶け出して、魚介類に蓄積し、その魚介類を人間が食べることによって、添加剤にさらされることがあるというのが、マイクロプラスチックの危険性です。

プラスチックによる健康被害が本当にあるのか、懐疑的な考え方をもつ人もいます。私はそもそも「健康被害」という言葉自体が適切ではないと考えています。「健康被害」というと使ってすぐ症状がでるものを連想しがちですが、環境ホルモンの影響は長い年月を経てのものになります。健康被害というよりも健康レベルの長期的な低下というほうがよいと思います。

そのように直接あるいは間接的にわれわれの生殖能力や免疫力の低下の原因になる物質がプラスチックには含まれているのです。予防的な視点で避けられるものは避けるほうがよいと思いませんか? 目先の便利さでプラスチックを使い続けて、将来の世代の健康や環境を悪化させてよいのでしょうか?

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