日本人は「海の不健康」の深刻さをわかってない

ごみ、酸性化、貧酸素化…問題は山積みだ

人間が汚してきてしまったものは、人間の手で戻さなければならない(写真:Magnus Larsson/iStock)

地球の海が著しく不健康な状態になっている。プラスチックによる海洋汚染をはじめ、地球温暖化に伴う海水温の上昇、海の酸性化、貧酸素海域の発生、富栄養化などが絡み合い、生態系に大打撃を与える恐れが出てきた。欧州では4年前から海洋の環境問題に注目が集まり、主要国首脳会議などで話し合われてきた。今年6月に大阪で開かれるG20(20カ国・地域)首脳会議を前に、日本学術会議の音頭により、参加国の科学者が解決の道を探る声明の準備を進めている。

国際政治の舞台に浮上

海洋の環境問題が注目されたきっかけは、プラスチックをはじめとする海洋ごみの問題だった。2015年にドイツ・エルマウで開かれたG7サミットの首脳宣言では、「海洋ごみ、とりわけプラスチックが、海洋や沿岸の生物と生態系、ひいては人間の健康を脅かすことを認識する」として、海洋環境の保護が掲げられた。

翌2016年1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)での研究報告は、衝撃的だった。「2050年までに海洋中に存在するプラスチックの量が重量ベースで魚の量を上回る」というのだ。これを受け、同年5月のG7伊勢志摩サミットでは、首脳宣言で、海洋ごみに対処していくことが再確認された。

国連でも、持続可能な開発目標(SDGs)の目標のひとつに、「海洋および海洋資源の保護と持続可能な利用」が掲げられている。2017年6月には、海洋の環境破壊に関する初の国連の会議である「国連海洋会議」が開かれ、「行動の呼びかけ」が全会一致で採択された。「ビニール袋や使い捨てプラスチック製品をはじめ、プラスチックとマイクロプラスチックの利用を減らすための長期的かつ本格的戦略を実施する。生産、販売、消費の各段階で関係者と協力する」としており、国連加盟の各国は対策を進めている。

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