「プラスチックごみ」対策意識が低い日本の現状 荒川で1年に回収するペットボトルは4万本
「海洋プラスチックごみの問題は、これまで拾えば何とかなるものだと思われてきました。しかし、海洋に漂うプラスチックごみを回収するのは不可能です。現状を知れば、末期的な状況だと言わざるを得ない」
そう話すのは、海洋ごみの問題に取り組む一般社団法人JEANの小島あずさ事務局長。
海洋プラスチックごみが海中の生態系に大きな悪影響を与えることは、50年以上前から研究者らによって指摘されていた。近年になって、海洋汚染が深刻さを増し、生態系への影響が可視化されるなどしたことで、ようやく注目を浴びるようになった。
「これまでもそうでしたが、海岸に漂着するごみはあくまで一部。多くのごみは海の中を漂流しているか、海底に沈んでいます。海洋ごみを拾うことは一時的な解決にしかならず、きりがないんです」
海に流れ着くプラスチックごみ
国連環境計画(UNEP)によれば、世界で生産されているプラスチックは年間約4億トンであり、その大半は“使い捨てられる”ものとされている。具体的には、ペットボトルやレジ袋、ストローといったものを指す。
世界的には捨てられたプラスチックの約80%がリサイクルされず、廃棄されている。ここで言う捨てられたプラスチックはあくまで「回収されたごみ」を対象としており、不法投棄されるなどして「回収されなかったごみ」は含まれていない。
回収されたごみでもほとんどんがリサイクルされていない一方、回収されず、川や海に流れ込んでしまうプラスチックごみは毎年1300万トンに上るとも言われている。回収されないごみとは、どういったものなのか。
「主なものとしては、やはりポイ捨てです。ただ日本では、ポイ捨てをする人は全人口の1〜2%とも言われており、そこまで多くはない。ポイ捨てを取り締まることも必要ですが、海に流れ着くごみは“意図しないごみ”も多いんです」と小島さんは話す。