ホットケーキを侮る人が知らない経営の超本質 わざわざお店で出せるほどの徹底した差別化
本書は2部構成になっており、Part Iでは遠藤氏が訪ね歩いた首都圏と関西の31の名店が紹介されている。そしてPart IIがビジネス・パート。ホットケーキの繁盛店から遠藤氏が学んだという「ビジネスで成功するためのヒント」がまとめられているのである。
今回は後者の中から、「競争戦略の視点」を抜き出してみたい。
一見ありふれたものにこそチャンスはある
繁盛店が教えてくれる最も大切なヒントは、ホットケーキという「一見ありふれた食べ物でも差別化することができる」という点だと遠藤氏は言う。
確かにホットケーキ自体は、特筆するほどの魅力を備えているわけではない。小麦粉、ベーキングパウダー、卵、牛乳、砂糖を混ぜ合わせて焼くだけ。焼けたらバターを塗り、シロップをかけたら完成なのだから。
シンプルで差別化できるところなどあるようには見えず、それどころかちょっと時代遅れで、ありふれた昭和のメニューというようなイメージすらある。
しかし繁盛店は、そんなホットケーキにさまざまな工夫を凝らし、普通のホットケーキとはまったく別物の差別化された魅力ある食べ物にすることに成功しているというのだ。
「家で食べるもの」と思っているホットケーキを、「わざわざ外で食べよう」と思わせるためには「特別ななにか」がなければならないのだろう。
ポイントは「広げる」と「深める」
ポイントは、ホットケーキの「シンプルさ」にあるようだ。シンプルだからこそ、奥が深い。だからこそ繁盛店は「ホットケーキ道」を究めようとしているということ。そして、そこにビジネスとしてのポイントがあるという。
問題は、まだまだ「深める」可能性があるにもかかわらず、安易に「広げる」方向へ向かってしまうこと。ビジネスチャンスに飛びつくこと自体は、必ずしも悪いことではない。しかし、真の差別化を望むのであれば、「深める」ことのほうが大切だというわけだ。
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