ホットケーキを侮る人が知らない経営の超本質 わざわざお店で出せるほどの徹底した差別化

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そして、この店でしか食べられないからこそ、日本全国から人が押し寄せ、店の前にはいつも行列ができる。休日などには3時間待ちの状況にもなる。

いうまでもなく勝因は、「TAM TAM」のホットケーキには「代替性」がないということである。「ここでしか食べられない」から、並んででも食べたいという人が集まるのだ。

「思いつき」という幸運

ところで同店の店主は当初、ホットケーキを焼くつもりはなく、「トーストを石窯で焼こう」と考えていたのだそうだ。だが試行錯誤しながら石窯と格闘しているうち、「石窯でホットケーキを焼いたらどうなるんだろう」と思いつき、このヒット商品を生み出すことになったというのである。

つまり唯一無二のホットケーキは、偶然の思いつきから誕生したものなのだ。

これまでに生み出されたイノベーションの多くは、予想もしていないまったくの偶然から生まれています。
これを「セレンディピティ」(偶然の幸運)と呼びます。
ノーベル賞を受賞するような偉大な科学者たちも、異口同音に「偶然の幸運」を語っています。
しかし、何もせず、ただじっとしているだけでは、偶然は訪れません。
「偶然の幸運」を手に入れるためには、新しいことに果敢に挑戦することが不可欠です。
新たなものを生み出そうと挑戦し、何度も失敗し、それでもめげずに試行錯誤を繰り返す。そうした粘り強い努力があってこそ、予期せぬ偶然は微笑むのです。(175〜176ページより)

「TAM TAM」の店主はお店を改装する際、「家庭では食べることができないホットケーキをめざそう」と考えていたという。その思いと行動が石窯と結びついたことによって、「ホットケーキのイノベーション」は生まれたわけだ。

競争戦略の視点:ヒント4
真の差別化を生み出すには、試行錯誤が不可欠である

ビジネスとは価値を生み出すこと。その価値に対し、お客は対価を支払うのである。だが、どこでも手に入るような価値では、お客を引きつけ、引きとめることは不可能。そのため、差別化にこだわり続ける必要があるのだ。

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