「世論市場化」に敗れた米国伝統メディアの危機

日本メディアでも「分極化」が起きるのか

ソーシャルメディアの利用で、政治報道は瞬時に広く伝播するようになったが、ソーシャルメディアでは自分の支持する情報を好んで伝える「選択的接触」「フィルターバブル」の傾向がある。

保守なら保守の情報、リベラルならリベラル派向けの情報ばかりが押し寄せてくる。情報過多の中、それぞれの情報は自分と同じ政治的な価値観を持つ層だけで共有されていく。情報は画一化するタコツボと化しつつある。

アメリカのリベラル派の友人たちが、フェイスブック上で連日MSNBCなどのリベラルメディアのからの情報をポストし、極めて乱暴な言葉でトランプ大統領批判を続けている。保守派の友人は保守サイトからの情報で民主党叩きを続ける。長年の友人たちだが、SNS上で飛び交う議論には、はっきりいってうんざりではある。

日本のメディアで起こること

最後に日本の状況についても書いておきたい。「アメリカと日本の状況はまったく同じ」という指摘も頻繁に受けるが、やや違和感がある。アメリカの政治的分極化やメディアの分極化に比べると、日本のほうはまだそれほどではない。

アメリカほど日本の世論はまだ割れていない。各種調査では既存のメディアへの信頼も極めて高いほか、自主規制を含めて放送上の規制も残っている。

ただ、それでも日本では少しずつ「メディアの分極化」の兆しが見えつつある。言うまでもないが、保守系のネット情報が近年かなり先鋭化している。保守系の書籍販売が好調なのは、日本の既存のメディアに対する反発があるといえる。この保守の動きを見て、リベラル派のネット言説もかなり厳しいものになりつつある。

アメリカが「いつか来た道」をいずれは日本も通るのかもしれない。

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