2025年「黒子化する」銀行が生き残る5つの条件 もう一度「ワクワクする」就職先に変わる方法

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ブレット・キング著『BANK4.0 未来の銀行』の最終章「Bank 4.0へのロードマップ」で描かれる世界では、2022年には、顧客1人の銀行支店訪問回数が年1回を下回る。

2025年には、テクノロジープレーヤーが最大の預金吸収企業となる。そして2030年には、10数カ国の経済がキャッシュレス化している。「準備ができているかどうかに関係なく、それはやって来る」のだ。

ならば銀行は、過去の延長上に営みを続けるのではなく、未来がどうなるかを自ら描き出して、覚悟を決めて変革の歩みを進めなければならない。

キング氏は、生き残る銀行が備えるべき条件として、次の5つを掲げている。

① 経営層のテクノロジー力を高める:金融=テクノロジーである。現在の銀行経営層にはテクノロジー人材が致命的に少ない。テクノロジーが顧客に与える影響を語れる人材が必要だ。
② 明確なビジョンを掲げる:顧客としてもこれからの主役となる若い世代を組織に入れる必要がある。テクノロジーに強いだけでなく、働く目的を求める彼らをやる気にさせる明確なビジョン(大義)を高く掲げることだ。
③ 組織を俊敏(アジャイル)化する:変化の速い時代に合わせて、組織活動のスピードを大幅に引き上げるとともに、迅速な方向転換ができるようにする。
④ 多様性を重視する:テクノロジー以外にも、マーケティングや心理学、デザイン能力など、多様なスキルが必要となる。銀行員の雇用をやめること。専門人材を惹きつけ、評価し、昇進させる仕組みが必要となる。
⑤ 最も影響の大きい部分のデジタル化から取り組む:「変えられるところから少しずつ変える」のではなく、「顧客中心に考えて最もデジタル化の影響の大きい部分の変革から優先して取組む」ことだ。

昨今、就職先としての銀行の人気は大きく低下している。それは、これまでの銀行という業態の将来性が疑問視されているということだろう。10年後の銀行が5つの条件をクリアして、学生にとって「ワクワクする」就職先と見られているなら、変革の歩みは成功したといえるのではないだろうか。

上野 博 NTTデータ経営研究所 金融政策コンサルティングユニット エグゼクティブスペシャリスト

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うえの ひろし / Hiroshi Ueno

住友銀行、日本総合研究所、フューチャーシステムコンサルティング、マーケティング・エクセレンス、日本IBMを経て現職。金融サービス業界を中心に、経営・事業戦略/新規事業開発/業務改革/マーケティング/テクノロジー活用等に関するコンサルティング/発信/提言活動を活発に実施。ブレット・キングの前著『Bank 3.0』(邦題『脱・店舗化するリテール金融戦略』東洋経済新報社)を翻訳。

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