クルマが家電になっておカネを稼ぎ始める日 「所有」する時代は過去のものになるかも
動力源が化石燃料から電気へと移行しつつある今、すでにクルマは電子装備のかたまりと化している。ナビゲーション、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、レーンキープ、衝突回避、オートライト、オートロック、盗難防止――。新車の運転席に着くと、走り出す前にマニュアルを読み込まなければいけないほどだ。日本での自家用車の買い替え年数は8年余りと言われるが、そのサイクルで新車に買い替えた人の多くは、技術の進歩に驚くだろう。
そして今、自動運転が実用化の視野に入り始めている。先日、ウーバーの自動運転テスト車の人身事故が報道されるなど、本格的な普及に至るまでには、テクノロジー面はもちろんのこと、道路インフラ、法整備、保険の考え方など、さまざまな社会・経済面の課題をクリアしなければならない。
一方で自動運転は、増加する高齢運転者の事故リスクや、ドライバー不足などに対する有効なソリューションとして期待されている。いずれ実用に向かうものであることは間違いないだろう。まず物流や公共交通機関等で利用が始まり、次いで個人利用へと進むと考えられている。
家電見本市に出展されるクルマ
自動運転によってクルマが「運転するもの」から単なる「乗りもの」になると、その「移動する空間」の中での時間をどのように使うかがテーマとなる。オフィスとして利用し、会議をしたり、居間として使って映画を観たりすることになれば、そのための空間デザインや機器の装備が必要となる。こうしてクルマは「家電」のようになっていくだろう。
実際に自動車メーカーにとっては、モーターショーだけでなく消費者家電ショーの重要性が増している。2015年の米国のCES(国際家電見本市)には、メルセデスがF015というコンセプトカーを出展し、乗員は向かい合って座り社内がラウンジのようになるというコンセプトを示した。それ以降、CESへの自動車メーカーの出展は増加の一途だ。
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