「壊滅的にできない子」を引き上げる意外な方法 「つまずいた部分にさかのぼる」は正しいか

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それでは、どうしたらいいでしょうか? 

それは「できる部分からやる」ということです。つまり「できる感覚を作る“リハビリ”」からスタートするのです。

できる部分からやるのが効果的な2つの理由

一般的にはこの方法は知られていませんが、このノウハウがかなり効果的であることは筆者の周囲のプロ指導者たちの間ではよく知られています。

なぜできる部分からやると効果的か。理由が2つあります。

1つは「基本がしっかりと固まっていく」ということです。これは言わずと知れた「基本ができれば次に進むことができる」というごく当たり前のことです。しかし、当たり前なのに、この当たり前をやっていないケースが少なくありません。

基本がほどほどの段階で次へと進むから問題が起こるのです。そうやって初めは小さい差だったものが、日に日に大きな隔たりへと変化していきます。そうなるともやは勉強はやりたくない、嫌い、ということで遠ざけていくのは必然なのですね。

もう1つは「自分って、もしかしたらすごいかも」と錯覚を起こすようになるということなのです。この「できる感覚」をしばらく作って“リハビリ”することで、自信を持つようになります。自信を持つと、先に進んだときに難しい問題が出てきても、「できるはず」という気持ちで取り組んでいきます。

仮にできなくても、「これは難しい問題だから意味だけわかればいい」と割り切って次へ進んでいくことができます。苦手意識を持ったまま進めてしまうと、わからない、難しい問題に直面すると、頭はフリーズします。そして敬遠していきます。その結果、ますますできなくなっていくのです。

橋田さんは、すでにお子さんのできない部分までさかのぼっておられますが、そのできなくなった1つ前の、「できる問題」を繰り返しやるようにしてください。それをしばらくやっていると、やがて飽きてきます。その段階で次へ進むのです。

すると基礎が完全に固まっており、さらに「できる感覚」を身に付けているため、スムーズに進めることができます。もし、家庭教師をつけていたり、個別指導を受けているときは、そのように進めてほしいとお願いされるといいでしょう。伸びていくという実感が得られると思います。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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