出張料理教室で「AIに負けない子」を育てる法

自宅キッチンを学びの場に変える新サービス

自宅キッチンでのびのびとレッスンを受ける鈴木理咲子ちゃん(右)とエプロン先生の勝倉雪紗さん(左)(撮影:尾形文繁)

「冷蔵庫の中に、何が入ってるかな?」

「みそ、ハム、ご飯、こんにゃく、鱈……」

「今日は何を使う?」

4月のある平日の午後5時、小学1年生の鈴木理咲子ちゃんは自宅キッチンの冷蔵庫の前で、「エプロン先生」と夕食の食材を選んでいた。

これは、2018年設立の教育ベンチャー「Hacksii(ハックシー)」による、3~12歳児向けの出張料理教室の一幕だ。通常の料理教室と違ってレシピがなく、自宅で学べるのが特徴で、思考力と表現力、判断力を養うことを狙いにしている。

主体的に考えることで思考力、判断力を育てる

通常の料理教室では決められたメニューに沿った食材が用意され、作り方を覚える。しかし、同社のサービス「ハクシノレシピ」では、子どもの自宅の冷蔵庫の中身を見て、そこにある食材から何を作ることができるか、子ども自身に考えさせる。受け身ではなく、子どもが主体的に料理の献立を考えることで、料理に関することだけでなく、思考力や判断力、表現力を育てるのが狙いだ。

例えば冒頭のレッスンでは、理咲子ちゃんが「鱈は”金時豆”と混ぜる」と提案。エプロン先生の勝倉雪紗さんが「りっちゃん(理咲子ちゃん)、ムニエルって聞いたことある?」と問いかける。子どもの自由な発想で生まれたメニューを実現させるため、エプロン先生は、料理に関する一般知識として「ムニエル」という調理方法を教え、サポートする。

また、理咲子ちゃんが「みそ」を使うと決めると、エプロン先生は「少しなめてみて」と言う。「どんな味がする?」「しょっぱい味!」というやりとりの後で、理咲子ちゃんが「パンの上にハムをのせ、みそを塗る」という主体的な行動を取り始めると、「なめてしょっぱい味がしたみそは、塗りすぎるとどうなるかな?」と問いかけ、みその量を加減する判断力を身に付けさせる。

最後に、出来上がった料理に対し、「これは何?」と問いかけると「ハム子ちゃん!」との回答。自分で考えたレシピを完成させ、名前をつけることで自分の考えを形にする表現力が身につく。レッスンの最後には、その日の行動を振り返り、自分の言葉で伝える「プレゼンテーション」の時間もある。

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