出張料理教室で「AIに負けない子」を育てる法 自宅キッチンを学びの場に変える新サービス

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Hacksiiの髙橋未来代表はもともと、右脳教育に特徴がある幼児教室「七田チャイルドアカデミー」の講師だった。右脳教育は、直感力や瞬間記憶力を高めるとされる。「当時から料理は脳の発達に効果的なのではないかという仮説を持っていた」(髙橋代表)。

そこで、脳機能開発研究の専門家に協力を仰ぎ、料理中の脳活動の測定を行った結果、「メニューを決め」「切る」「炒める」「盛り付ける」など料理の各過程において、子どもの脳活動が活性化することを確認した。

【2019年7月24日19時25分注記】初出時の記事の表記を上記のように修正いたします。

「料理は脳の発達に効果的ではないかという仮説を持っていた」というHacksiiの髙橋未来代表(写真:Hacksii)

この結果を基に、管理栄養士の監修のもと、カリキュラムを作成。冷蔵庫の中から食材を見つけ、その食材から何が作れるかを考える「作戦会議」を行い、どのようなメニューを作りたいか、子どもに絵や文字で表現させる。メニューが決まったら実践、味見、改善を繰り返し、出来上がったら料理に作品名をつけ、プレゼンテーションを行う。

管理栄養士や保育士が担う「エプロン先生」

しかし、「親の立場に立つと、子どもが成長しているのはわかるが、今、どのレベルにあるのか数値化されないとわからないという課題があった」(髙橋代表)。

そこで、「フライパンの名前を知っている」「醤油の味から調味料を特定できる」「ぶつ切り・一口切りができる」など、料理のスキルや知識の進歩度合いを測るチェック項目を設定。エプロン先生と過ごすことで子どもたちがどれまで成長したか、わかりやすい物差しを示すことにした。

エプロン先生と呼ばれる講師は、管理栄養士や栄養士資格を持っている人を中心に、食育に関心がある人、元幼稚園教諭や元保育士など、子どもとの関係をうまく築ける人をそろえている。レッスンでは、料理に関することだけでなく、あいさつやエプロンの結び方、料理をする前に手を洗うなど、しつけやマナーも教育する。冒頭のエプロン先生、勝倉さんは、調理学校を卒業して食育アドバイザー、幼児食インストラクター、食品衛生責任者の資格を持ち、エプロン先生唯一のHacksii社員として、現場での知見を生かしサービス開発も行っている。

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