出張料理教室で「AIに負けない子」を育てる法 自宅キッチンを学びの場に変える新サービス

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サービスは利用者の自宅キッチンで行う自宅訪問型が基本で、保育園や学童教室の送り迎えから対応しており、保護者の送迎負担がない。そのため、サービスを利用する家庭のうち9割が共働きだ。

理咲子ちゃんの母親、浩子さん(38歳)も船会社に勤める会社員で、共働き家庭だ。「もともと料理に興味があったので、現在1歳の長男の育児休暇中は私が料理を教えていた。だが、子どもの主体性を大事にして待ってあげる余裕が私自身になかった。ハクシノレシピのサービスを使うようになってから、”スパゲティは絶対にトマトソース”といった固定観念や保守的な姿勢がなくなって世界が広がり、(子どもが)自由な発想をできるようになっているように感じる」と話す。

1レッスン2時間で1万2980円

冒頭のレッスン日は、18時ごろ、ベルギー・アントワープへの出張から帰宅し、1歳の長男、勇仁(ゆうと)くんを保育園に迎えに行って19時過ぎ、理咲子ちゃんがエプロン先生と一緒に作った料理で食卓を囲んだ。「レッスンの日は仕事で疲れて帰ってきて玄関を開けると、温かいご飯のいい匂いがして幸せを感じる」と浩子さんは顔をほころばせる。

選んだ食材の中からメニューを考える「作戦会議」の様子(撮影:尾形文繁)

1レッスン2時間当たりいちばん安いライトコースで1万2980円と高額だが、「料理だけでなく、プログラミング教室で身に付けるような思考力や自分の言葉で表現する力を育て、家庭教育まで行う。小学校受験を考えている子どもにも必要な一連のプロセスを身に付けられる」と髙橋代表は胸を張る。

サービスのメインターゲットは小学校受験を考える都市部在住の高収入世帯で、「例えば幼稚園・小学校受験塾として有名な伸芽会は1レッスン2時間で1万3000円ほどと同程度。ハクシノレシピは多くの小学校受験塾が設定している入学金3万~8万円が不要で、帰宅後の食事の用意ができていて送迎がいらない。習い事をさせたい共働き世帯にとっては決して高いとは言えない料金設定だ」(髙橋代表)という。

10~20年後には、日本の労働人口の約5割がAI(人工知能)やロボット等で代替可能になると言われている。子ども世代に必要なのは、今はない仕事、新しいアイデアを生み出す力。子ども向けサービス、教育にも新たなニーズが生まれている。

中原 美絵子 フリーライター

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なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

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