優等生ファナック、「営業益半減」の衝撃度 26年ぶり利益率20%割れ、何が起きたのか
FA(工場自動化)業界では、2月期決算の産業用ロボット・モーター大手の安川電機と、11月期決算の中堅機械メーカー・不二越が、同業他社より半月程度早く決算を発表する。すでに発表された安川電機の2020年2月期の業績予想は、通期こそ減収減益だが、下期は前年同期比で38%の営業増益を見込んでいる。不二越も2019年11月期に前年比11%増の営業増益を見込んでおり、FA業界の底打ち観測が広がっていた。
市場関係者にとってファナックの業績予想は、FA業界底打ちの「最終確認」となるはずだったが、その期待はもろくも崩れ去った。ファナックに何が起きたのか。
のしかかる設備投資の償却負担
業績予想で目を引くのが、費用負担の重さだ。今期の利益が圧迫される要因として、山口社長は「減価償却費」「人件費」「研究開発費」の増加を挙げた。
ファナックはここ数年間、毎年1000億円規模の設備投資を続けてきた。「受注、売上高に関しては残念ながら厳しい状況が続く。ただ、将来に向けた設備投資は継続する」(稲葉会長)。足元の苦境が終わって好況が訪れたときに需要を最大限刈り取る戦略だ。
人件費負担も大きい。富士山麓に大工場群を構え、世俗から遮断された印象のファナックにも「働き方改革」の波は押し寄せている。「働き方改革を踏まえた労働時間の短縮で、人員は多めに採用した」(山口社長)。
近年注力している工場のIoTデータプラットフォーム「フィールドシステム」の強化に向けて、中途を含めたソフトウェア人材も増強している。当然、研究開発費も膨らんでいる。
また、アナリストからは、下半期の売り上げ予想の弱さも指摘された。FA業界では2019年下半期に中国市場や半導体関連市場が一斉に動き出すという見方が多い。にもかかわらず、ファナックの下半期の売上高は上半期に比べ1%しか伸びない。山口社長は「(下半期に)伸びる可能性はあるけれど、見通しに反映できるほどの確証は持ち合わせていない」と、政治リスクに左右される中国市場へ楽観的な業界と対照的に慎重な姿勢を見せた。
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