優等生ファナック、「営業益半減」の衝撃度 26年ぶり利益率20%割れ、何が起きたのか
カギを握るのが欧州市場の開拓だ。欧州のFA市場は、ドイツを中心とする地場メーカーが席巻している。稲葉会長は年始の賀詞交換会で「幸か不幸か、(欧州は)われわれは弱い地域なので切り開いていく。私も今年は(欧州に)何回も行かなければならないと思う」と市場開拓に積極的な姿勢を見せていた。
というのも、ドイツの自動車工場向けFA市場で、おひざ元・ドイツの産業用ロボットメーカー、KUKA(クカ)がシェアを落としているという。理由は、中国の家電メーカー・美的集団にクカが買収されたからだ。あるFA企業大手の幹部は「ドイツの自動車メーカーたちは中国の企業に技術が流出することをいやがってクカから離れつつある。そこに食い込もうと、ファナックや安川電機が躍起になっている」と語る。
競争環境が変わった欧州ロボット市場でのシェア拡大がファナック復調のカギとなりそうだ。
為替は1ドル100円を想定、保守的な業績予想
実はファナックは従前から期初の業績予想が保守的なことで有名だ。米中貿易摩擦の影響で各社が下方修正を余儀なくされた前2019年3月期も、ファナックは期初予想を若干上回る数字で終えた。
今期も、想定為替レートを1ドル=100円(期中平均)とし、1ドル=110円前後で推移する足元の為替レートより円高の前提を置いている。山口社長自身、「一般的に堅い見通しの会社と言われている」と決算説明会で語ってアナリストらの笑いを誘った。
はたして本当にファナックは屈辱の営業利益率10%台に沈むのか。まずは劣勢の欧州開拓を進め、中国市場の回復を座して待つ厳しい1年となりそうだ。
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