ベンチャーブームに沸く日本人が知らない壁

調達額急増も米国や中国と比べればなお小粒

次のメルカリはどこの会社か(デザイン:新藤 真実)

いま日本には、第4次ベンチャーブームと呼ばれる波がきている。2017年のベンチャー調達額は2791億円。これはボトムだった5年前の4.3倍の水準となる(ジャパンベンチャーリサーチ調べ、以下同)。金融緩和や2013年以降に相次いで設立された官製ファンドなどにより、ベンチャー市場にリスクマネーが流入。近年は、大企業もベンチャー投資にのめりこみ、市場拡大に拍車をかける。

AI、宇宙、創薬・・・100億円級の調達が続々

ベンチャー企業1社当たりの調達額も高騰している。2017年の調達額ランキングを見ると、120億円を超えた1位のプリファード・ネットワークス(東京大学発のAIベンチャー)をはじめ、2位のスコヒアファーマ(武田薬品工業の事業を切り出した創薬ベンチャー)、3位のispace(月面探査を目指す宇宙ベンチャー)と100億円級の資金調達が相次いでいる。

国内では、過去10年間で100億円を超える調達は4件だが、うち2017年度だけで2件を占めた。平均調達額は3億円と5年前の約3倍の水準だ。大手ベンチャーキャピタル(VC)・ジャフコの井坂省三パートナーは、「バリュエーション(企業価値の相場)は高くなりがちだが、バブルという感覚はない。ポテンシャルがあるベンチャーに対して、大きく勝負を仕掛けてスケール(規模拡大)できるようになった」と評価する。

週刊東洋経済7月9日発売号(7月14日号)の特集は「ビジネスのヒントはここにある!すごいベンチャー100」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

週刊東洋経済は7月9日発売号(7月14日号)で「ビジネスヒントはここにある!すごいベンチャー100」を特集。注目のベンチャー企業100社を総まくりで紹介するほか、活況に沸くベンチャー界の最新の動向を伝えている。

資金の出し手にも大きな変化が出ている。従来、日本のベンチャー投資をリードしてきたのは、ジャフコやグロービス・キャピタル・パートナーズといったベンチャーキャピタル(VC)だった。しかし2017年には、事業会社本体や傘下のファンドによるベンチャー企業への投資(コーポレート・ベンチャーキャピタル=CVC)額が、VCのそれを上回り、最大の投資主体となった(図③)。

背景にあるのは、日本企業の危機感だ。「AIをはじめ、デジタル化の波が押し寄せる中、大企業がベンチャー企業のアイデアや技術を取り込んで生き残ろうとする、オープンイノベーションの動きが加速している」(KPMG FASの岡本准パートナー)。

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