――僕も離婚経験者ですが、裁判所のお世話にはなりませんでした。調停や裁判を経験した人に会うと、「それは大変だったね。オレは協議離婚だよ」と低レベルの優越感を持ったりします。
なるほど。そういう気持ちになるんですね(笑)。でも、離婚調停をする夫婦はさまざまです。夫婦の間で離婚条件をほぼ合意したけれど、埋まらない溝が少しある。第三者の意見を聞いてその溝を埋めたうえで調停調書にしたい。このような理由で裁判所を利用する人もいます。調停が成立していれば、相手の給料を差し押さえることも可能なので、養育費などの支払いを確保することもできるのです。弁護士は入れずに、夫婦だけで一緒に裁判所に来て一緒に帰る夫婦もたまにいらっしゃいます。
当事者間だけの話し合いでは、例えば慰謝料に関して一方的に押し切られてしまうこともあるでしょう。調停を使えば、その金額が適正なのか裁判所の意見を聞くことはできるので、結果として同じ金額だったとしても、「やるべきことはやりきった」感を得てすっきりします。
離婚傾向が見られる、刹那的結婚とスピード婚
――確かに、離婚した後のモヤモヤした気持ちは減りそうですね。税金を払っているのだから、いざというときは堂々と裁判所を利用してもいいのかもしれません。中川さんは数多くの離婚裁判を経験していますが、晩婚さんに限って言えばどのような傾向があると感じていますか。
晩婚さんの離婚は大きく2つのパターンに分かれると思います。1つは、結婚と離婚を繰り返している人。過去の結婚相手との間にも子どもがいて、養育費の支払いなどを考えずに再婚して、また離婚する。刹那的に生きている人と言えるかもしれません。争点は、養育費を月額2万円にするか3万円にするか、といったこと。子どもにも自由に会っていたりして、弁護士が入る必要がないことも多いです。
もう1つのパターンは、異性経験がほとんどないままにお見合いなどで結婚した人に多く見られます。相手の気持ちを察することができず、自分の価値基準を曲げることもせず、スピード離婚に至ってしまうケースが少なくありません。
――後者の場合は、何が争点になることが多いのでしょうか。
妻は離婚したいけれど夫は離婚したくないというケースが多いですね。そもそもなぜ離婚を言い出されたのかわからない、家事を十分にやらない妻に我慢をしながらちゃんと働いて稼いでいるのに、急に感情的になってキレられても納得がいかない、と主張します。妻のほうは家事も育児も手伝ってくれない夫に対して不満が積もり積もっているのに……。
コミュニケーションが圧倒的に不足しているのだと感じます。女性は「言わなくても察してほしい」と思うのではなく、男性にもわかる言葉で要求を小出しにするべきでしょう。男性のほうはとにかく聞く耳を持つことが必要です。
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