ベランダから東京スカイツリーが大きく見える、下町のタワーマンションに来ている。最寄り駅から徒歩3分ほどで、雨の日もほとんど濡れずに駅まで行ける。都心で働く共働き夫婦にとっては理想的な住環境だろう。
「賃貸ですけどね。60平米の2LDKです。2人暮らしなので狭さは感じていません」
キッチンでローストビーフを作りながら控えめに話してくれるのはIT企業で管理職をしている中山誠二さん(仮名、41歳)。テーブルでは、妻の美幸さん(仮名、38歳)が筆者にシャンパンを注いでくれている。
筆者の読者交流飲み会で出会った2人
昨年末に結婚したばかりだという新婚家庭にずうずうしくお邪魔して、夕食までごちそうになっているのは理由がある。2人の出会いは、筆者が毎月開いている読者交流飲み会「スナック大宮」なのだ。2017年の春のことだった。
筆者が「スナック大宮」を主宰する最大の下心は「取材先の確保」である。メールマガジンの登録者がほとんどなので、参加申し込みの時点でその人のプロフィルをある程度は把握できる。結婚したばかりの晩婚さんの参加はとくに歓迎だ。筆者の記事を時々読んでいる人たちなので、「晩婚さんの連載に出てください!」と軽くお願いしても快諾してくれることが多い。
数は少ないが、「スナック大宮」がきっかけとなって交際して婚約・結婚に至る人々もいる。誠二さんと美幸さんはその3組目だ。ただし、美幸さんは「出会い目的」の参加ではなかったと振り返る。
「30代になってから結婚相談所やネット婚活を試したこともありましたが、話が合う男性とは出会えませんでした。2年前に「スナック大宮」に参加したのは婚活が目的ではありません。いろんな考え方の人たちとざっくばらんに話してみたいな、と思いました。あ、もちろん大宮さんとも話したかったですよ」
中堅メーカーでマネジャー職にある美幸さん。向上心とバランス感覚を併せ持った女性だ。当日、たまたま隣り合った誠二さんとはスポーツカーの話で意気投合した。2人とも車の運転が好きで、結婚した今でもそれぞれの自家用車を保有している。
交際を始めるのは早かったが、結婚するまでには1年半ほどの時間がかかっている。その理由を誠二さんは率直に明かす。
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