「彼氏のうつ時代」を越えて結婚した2人の軌跡 アラフォー管理職同士の“絶妙な"距離感

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「ずっと体調が悪くて、結婚する気分にはなれなかったからです。仕事が原因の適応障害と診断されていました。ほぼうつ病です。調子がよくなるまで2年もかかりました」

美幸さんも誠二さんの症状には気づいていた。しかし、深く立ち入ることはしなかったと振り返る。

「私もつねに快調なわけではありません。体調はよくても、1カ月間も海外出張があったりします。大人はそれぞれの事情がありますよね。お互いに立ち入らない部分があるべきだと思います」

誠二さんは2018年の夏に全快した。ある朝、「今日は気分がいい!」と感じたという。すぐに美幸さんにも伝わった。この機を逃すわけにはいかない。

「ちょうどその頃に海外駐在の話が出ていました。私は1人でアメリカに住んでいたこともあるので、独身のままならば喜んで受けたと思います。でも、年齢も年齢だし、結婚や子育ても経験してみたいと思いました」

一方の誠二さんはのんびりしている。ようやく体調が整ったので、仕事や趣味に全力投球したいと思ったのかもしれない。美幸さんは半泣きで怒った。私たちはどういう状態なのか。あなたは私のことを大事にしていないのではないか。誠二さんは慌ててプロポーズをして、一緒に住むマンションを探し始めた。

晩婚さん、とくに女性の晩婚さんには思いやりと勇気が必要だと筆者は思う。お互いに大人だから「立ち入らない部分」はある。必要に応じて支え合うべきだ。ただし、言うべきことは言う。それが原因で別れることになっても仕方がない。リスクを負って行動できる人だけが「遅い幸せ」を得られるのかもしれない。

1人でちゃんと生きてきた者同士の結婚の場合

結婚が決まってからの2人の動きは迅速だった。美幸さんによれば、お互いに1人暮らしが長く、会社では物事を回していく立場にある。例えば、新居選びなどはまったく問題がなかった。街のブランドなどにはこだわらず、利便性と快適さを重視することで一致。マンションが決まってから1カ月間で、それぞれの旧居の撤収から新居の整備のすべてを完了した。誠二さんはたんたんと語る。

「仕事でも使っているプロジェクト管理ツールを利用しました。まず、やるべきことをバーッとリストアップ。一応の担当を決めましたが、それぞれ自主的に勝手に進めるので進捗管理などは必要ありません。『電気の契約もやっといたよー』ぐらいでどんどん進みました」

この点に関しては、美幸さんも深く同意する。1人でちゃんと生きてきた者同士の結婚は、実家から出たことのない若者の結婚とは違う。家事などは「手が空いている人がやる」で問題ないのだ。機械も積極的に活用している。

「2人とも掃除は苦手なのでルンバに任せています。ジムにも通っていて洗濯物が多いので、乾燥機を買おうかなと思っているところです」

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